災害で太陽光パネルが壊れたら|割れていても光が当たれば発電する

失敗・トラブル公開 2026年8月8日
災害で太陽光パネルが壊れたら|割れていても光が当たれば発電する

台風や地震のあと、屋根から落ちたパネル、割れたパネルをまず自分で片付けたくなります。そこに危険があります。太陽光パネルは配線が切れても、割れていても、光が当たれば発電を続ける機器です。壊れた家電のように「電源が切れた状態」にはなりません。国の注意喚起をもとに、触ってよいのか、誰に連絡するのか、業者が来るまで何をしておくのかを整理します。

割れたパネルは「止まった機械」ではない

経済産業省は、豪雨被害のたびに同じ内容の注意喚起を出しています。令和3年7月の文書はこう書いています。

太陽電池パネルは光が当たれば発電をすることがありえます。このため、素手で触ると感電するおそれがあります。周囲にロープを張るなど、関係者以外が不用意に立ち入らないような対策を行ってください。

同じ文書は、破損・浸水した設備には一般の住民も含めてむやみに近づかないよう求めています。浸水した場合は、水が引いた後でも集電箱やパワーコンディショナの内部に水分が残っていることがあり、触ると感電のおそれがあるとも書かれています。「もう乾いたから大丈夫」という見た目の判断が通用しない、ということです。復旧作業でやむを得ず扱う場合の装備として挙げられているのも、ゴム手袋・ゴム長靴といった感電対策です。

連絡先は設備の規模で決まっている

では誰に対処を頼むのか。経済産業省の注意喚起は、連絡先を設備の規模で分けています。住宅の屋根に載っている太陽光はほぼすべて50kW未満なので、一般家庭の場合は販売施工業者に連絡するのが公式の案内です。

破損・浸水した太陽光発電設備の連絡先(経済産業省 注意喚起 令和3年7月5日。2026年8月8日確認)
状況 連絡先
50kW未満(住宅用はおおむねこちら) 販売施工業者
50kW以上 選任されている電気主任技術者
10kW以上の設備で被害が出た場合 事故報告の対象となる場合があり、被害を知ってから24時間以内に最寄りの産業保安監督部へ(電気事業法第106条)
他人の設備の破損・浸水を見かけた場合 産業保安監督部・経済産業省または設置者へ知らせる

作業をするのは「太陽電池発電設備に充分な知見のある者」とされています。設置した業者に連絡がつくなら、そこが最初の窓口です。工事の連絡先が分からない場合は、契約時の書類に施工店とメーカーの記載があります。どの書類を見ればよいかは契約書類の記事と保証の記事で整理しています。

業者が来るまでの応急処置は「遮光」

環境省は、被災した太陽光発電設備の扱いについて所有者向けのチラシを出しています。感電の防止としてまず挙げられているのが、パネルの受光面を下にし、受光面をブルーシート等の遮光用シートで覆うことで発電そのものを止める方法です。光が当たらなければ発電しない、という性質を逆から使う手当てです。

同じ資料には、触る際は厚手の絶縁ゴム手袋等を着用すること、ケーブルの端末はビニールテープなどで絶縁すること、ガラスが割れたパネルは水に濡れると含有物質が流出するおそれがあるため水濡れを防ぐこと、囲いと貼り紙で人が近づかないようにすることが並びます。これは処分を進める場面の資料なので、割れたパネルの扱いは最終的に自治体・解体撤去業者・廃棄物処理業者へ破損状況や枚数を連絡して相談する流れになっています。パネルの廃棄の制度全体は廃棄の記事に、撤去費用の考え方は撤去費用の記事に、取外しと処分をどこに頼めるかは処分先の探し方の記事にまとめています。

蓄電池は「ブレーカーを切れば安全」ではない

蓄電池を併設している家は、もう1つ別の危険があります。日本電機工業会と電池工業会が震災時の取り扱いについて出している文書は、こう明記しています。

家庭や事務所等の分電盤ブレーカーが切れていても、内蔵の電池に電気が残っていますので、感電の危険があります。

変形・破損・水濡れした蓄電システムには手を触れず、使用中なら直ちに止める。電解液が漏れていたら触らず、手や目に付いたら大量の水で洗い医師の診断を受ける。連絡先は販売店・施工店・メーカー。専門家が来るまでは、ブレーカーを落とし、周囲の可燃物を除き、ブルーシートで雨水を防ぎ、「触るな」と貼り紙をして、上に物を置かない。ここまでが業界団体の示す手順です。地震のあとに機器の上へ物をまとめて載せるのは、片付けの動きとしては自然なだけに、明確に避ける必要があります。

水に浸かった場合は、危険の種類が変わる

地震で割れた場合と、水害で浸かった場合とでは、注意すべき点が違います。

太陽光発電協会は、この点について実際に太陽光発電システムを池に沈めて、漏れ電流を測定する実験を行っています。NEDOの委託業務として実施されたものです。

浸かっていても発電している

太陽光発電システムはこのような場合でも光が当たれば300V以上の電気を発電をします。

水没していても、光が当たれば発電します。割れたパネルが発電し続けるのと同じ理屈です。

水が引いた後も危険が残る

ここが水害特有の点です。実験の結果として、次のように書かれています。

水が引いた後でも、集電箱やパワーコンディショナの大地との電気抵抗が小さくなっており、感電の恐れがあります。

大地との電気抵抗(絶縁抵抗)が小さいと、電気が漏れやすくなります。見た目が乾いていても、内部の状態は元に戻っていません。

流されたパネルと、浸かったパワコンに近寄らない

台風や洪水では、パネルが屋根から飛ばされたり、架台ごと流されたりすることがあります。JPEAの水害時の対処についての文書は、こう注意しています。

複数枚の太陽電池パネルが接続されたまま飛ばされたり流されたりした場合は、接続活線状態であれば日射を受けて発電し高い電圧/電流が発生するため、周辺にロープを張るなど、関係者以外が不用意に立ち入らないような対策を実施することが必要です。

流れ着いた先で、パネルはまだ「電気を作る板」のままです。パワーコンディショナが水に浸かった場合については、こう続きます。

浸水したパワーコンディショナは、直流回路が短絡状態になる可能性があり、太陽電池パネルが活線状態の場合には、短絡電流が流れることでショートや発熱する可能性があります。

ショートしている状態が見える場合には販売施工事業者に連絡する、というのが文書の案内です。

乾いても、元の状態には戻らない

「水が引いて乾けば、また使えるのでは」という期待には、実験の数字が答えています。JPEAが水没実験の結果をまとめたパンフレット(2019年4月)によると、水没させた接続箱とパワーコンディショナの絶縁抵抗は、時間がたつと部分的に回復するものの水没前の値には戻らず、洗浄しても回復しなかったと報告されています。結論はこう書かれています。

そのため、水没した接続箱やPCSは交換することが望ましいと考えられます。

PCSはパワーコンディショナのことです。同じ実験では、水没後のパワーコンディショナにパネルを接続したまま観察したところ、水没した当日や翌日に、短絡が原因とみられる煙、火花、焦げが入力端子の一部で確認されています。乾くのを待って使い続ける判断を、自分でしてはいけません。使えるか、交換かは、業者の点検で決めることです。

やるべきこと

水没・浸水の後はできる限り、感電防止の処置として太陽電池パネルと接続箱を切り離すことを太陽光発電システムや電気設備に十分な知見を持つ専門家へ依頼してください。

この作業を自分で行ってはいけません。JPEAは「風水害の被害にあった太陽光発電システムにむやみに近づかずに」とも書いています。

状況 やること
設備の周囲が水に浸かっている 近づかない。水を通じて感電する恐れがある
水が引いた まだ触らない。絶縁抵抗が下がったままの可能性
状態を確認したい 設備の事業者・管理者に連絡する
切り離しの作業 専門家に依頼する

切り離しや点検を専門家に頼むのは、手順そのものが専門技術者向けに定められているからです。JPEAは公共・産業用の設備向けに水害編の手順書を出しており、検電器や絶縁抵抗計で電圧を確かめながら、電力系統に近い側から順に回路を切り分けていく内容です。文書には「上記以外の者は、この文書を利用し作業を行ってはならない」と明記されています。住宅の窓口が販売施工業者とされているのは、この作業を代わりに担える相手だからです。

これは過去の話ではない

令和8年7月28日の熊本地震を受けて、経済産業省は8月5日にも同趣旨の注意喚起を出しています。地震で太陽光パネルの破損・飛散・倒壊が起きた場合、感電・火災・飛来物による二次災害のおそれがあるとして、設置者に自身の安全を確保した上での被害確認と、必要に応じた立入禁止措置を求める内容です。災害のたびに同じ文書が繰り返し出るのは、災害のたびに同じ事故が起きうるからです。被災地域の方は、片付けの前にこの注意喚起の本文を確認してください。

台風や大雨が来る前にやっておくこと

被災後の対処より先に、できる準備があります。JPEAは一般家庭向けに「太陽光発電システム(屋根上設置)の設備浸水・水没時の注意点」という資料を出しています(2023年8月の台風6号・7号の際に案内されたものです)。日頃の準備として挙げられているのは次の点です。

  • 設置の高さを控えておく。太陽光パネル・接続箱・パワーコンディショナ・蓄電池が地上から何メートルの位置にあるかをメモしておく。水害のあとに浸水の深さと突き合わせれば、どの機器が水に浸かったかを判断する手がかりになります
  • 販売店・施工店の名前と電話番号を控えておく。分からない場合は、メーカーの相談窓口を調べて控えておく
  • 分電盤とブレーカーの位置・形を確認しておく

避難するときは、電源を切ってから家を出ます。資料が示す順番は、①分電盤の主電源ブレーカーをOFF、②太陽光発電ブレーカーをOFF、③太陽光発電システムの運転スイッチをOFF、の3段階です。資料には「分電盤やブレーカー等の形状・パターンは各家庭で異なるため、あらかじめ確認しておくことが重要です」とあります。地震のときの避難(後述)と同じで、通電したまま家を離れないことが要点です。

水が引いて家に戻ったあと、水没・浸水がなかった場合は、①主電源ブレーカー、②太陽光発電ブレーカー、③運転スイッチの順でONにし、ディスプレイなどにエラーメッセージが出ていないかを確認します。エラーが出ていたら販売店・施工店に連絡してください。一部でも水没・浸水が確認された場合は、復帰手順に進んではいけません。冠水した家電と同じで、そのまま通電させず、触れず、販売店・施工店に連絡します。

被害が出たときの動き方

ここから先は当サイトの整理で、公的な基準ではありません。

  1. パネル・ケーブル・蓄電池に触らない。家族にも触らせない。近づく必要があるなら遮光と絶縁の装備を整えてからにする
  2. 安全な場所から被害の写真を撮っておく。修理・撤去の見積もりや業者とのやり取りで、被害当時の状況が分かる記録は役に立つ
  3. 設置した販売施工業者へ連絡する。つながらない場合は契約書類にあるメーカーの窓口を探す
  4. 修理や撤去の金額が大きい場合は、1社の言い値で決めずに複数の見積もりを取る。進め方は見積もりガイドの記事と相見積もりの記事を参考にしてほしい
  5. 災害後は「無料点検」を名乗る訪問が増える。点検義務や補助金をかたる話法は悪質業者の見分け方で整理している。その場で契約しない

災害後の太陽光でいちばん避けたいのは、感電と、混乱に乗じた契約の2つです。壊れ方の全体像は失敗例の記事と火災の記事に、機器の基礎は蓄電池の選び方の記事と費用ガイドの記事にまとめています。補助金を使った建て直しを考える場合は全国の一覧から確認できます。修理・交換の業者選びで迷ったら、業者の見分け方を先に読んでから動くことをすすめます。

家屋の損傷の程度で、やることが変わる

太陽光発電協会(JPEA)は、震災で被災した住宅用太陽光発電システムの扱いについて、専門技術者向けの手順書を出しています。そこでは家屋の損傷状況を5段階に分けて、対応を示しています。

家屋の状態 やること
異常なく居住可能 所有者が日常点検(目視)を行い、異常がないか確認する
損傷は軽微 販売施工業者に点検・復旧を依頼する
半壊・全面改修が必要 一旦撤去するか現状のまま改修するかを、改修業者と協議して判断する
全壊・建て直しが必要 機器の再利用が可能か診断を依頼する
倒壊してがれきと堆積 遮光処理と配線の絶縁処理を行う(下記)

ここから先は当サイトの整理です。「太陽光がどうなったか」は、家がどうなったかで決まります。自分の家がどの段階かを先に確認してください。

避難する前にやること

倒壊の危険がある家屋から避難する場合、JPEAは次のように書いています。

太陽光発電システムは、商用電力系統が停電すれば自動的にシステムの運転を停止しますが、停電が復旧し日射があれば自動的に運転を再開します。倒壊の危険のある家屋の所有者の方は、機器や配線の損傷から漏電の危険性がありますので、必ず分電盤の遮断器を切りパワーコンディショナの運転ボタンを停止にした上で避難して下さい。

停電が直れば勝手に動き出す。これが見落とされやすい点です。避難時に電源を落としておかないと、損傷した配線に通電することになります。

がれきの中のパネルに触れるとき

JPEAが挙げている注意事項です。原文の要旨を並べます。

  1. 壊れたパネル・接続箱・パワコンに触れる必要がある場合、絶対に素手で触らず、電気用ゴム手袋などの絶縁性のある手袋を使う
  2. ブルーシートや段ボールで覆うか、裏返すなどして、光が当たらないようにする
  3. パネル間の配線コネクタを全て抜く
  4. 配線を切断する場合は、切断面に絶縁テープを巻く。切断と絶縁の作業は必ず電気工事士が行う
  5. 夜間や日没後でも、日射があるときと同じ注意で対処する

5番目は特に重要です。暗ければ安全と考えてしまいがちですが、JPEAは明確に否定しています。

また、災害廃棄物として処理される場合の注意もあります。

災害廃棄物として処理される場合、相当期間仮置きされる可能性があるので、太陽電池パネルからの電流スパークによる火災を防ぐために、パネルの遮光処理、配線切断面の絶縁処理を確実に行っておくこと。

復旧するときの順番

損傷が軽微で運転を再開する場合、手順が決まっています。

接続箱の開閉器をON → 分電盤の太陽光発電用ブレーカーをON → パワコンの運転スイッチをON

JPEAは「各動作の際、異音、異臭、異常があればすぐにOFFに戻し、異常個所の修復、修理を行うこと」としています。

この順番は、通常の連系運転を開始するときと同じです。停電時に使う自立運転の切り替えとは別の操作なので、混同しないよう注意してください。停電時の使い方は停電したとき太陽光は使えるのかで説明しています。

この記事の情報について

出典は経済産業省「破損・浸水した太陽電池発電設備による感電事故防止について(注意喚起)」(令和3年7月5日)、同「令和8年熊本地震を受けた太陽電池発電設備及び風力発電設備の安全確保について(注意喚起)」(令和8年8月5日)、環境省 啓発用チラシ「太陽光発電設備をリユース、リサイクル、処分する際の留意点について(所有者用)」、日本電機工業会・電池工業会「震災によって被害を受けた場合の定置用蓄電システムの取り扱い上の留意点」(2016年4月27日)です。確認日はいずれも2026年8月8日です。

太陽光発電協会(JPEA)の資料は次の7点です。「太陽光発電システムの水害時の感電の危険性について」チラシPDFと「太陽光発電システムの水没実験の概要(パンフレット)」PDF(2019年4月26日・NEDO委託業務の成果物)、「太陽光発電システム(屋根上設置)の設備浸水・水没時の注意点」PDF(2023年8月16日のお知らせで案内)、「太陽光発電設備が水害によって被害を受けた場合の対処について」PDF(2015年9月11日)、「太陽光発電システム被災時の点検・撤去に関する手順・留意点【水害編】」PDF(2015年10月9日)、「震災によって被害を受けた場合の太陽光発電システム取り扱い上の留意点」PDF(2016年4月15日)、「太陽光発電システム被災時の点検・復旧・撤去に関する手順・留意点【震災編】」PDF(2016年4月28日)です。本文の家屋損傷別の5段階、復旧の順番、災害廃棄物の注意は震災編の手順書から、避難前の操作とがれきの注意事項は震災時の留意点から引いています。確認日はいずれも2026年8月12日です。当サイトが被災した設備の対処を実際に行った立場ではなく、記載は公表資料の読み取りです。

確認していない範囲: 破損パネルによる感電事故の件数の統計、割れたパネルが実際に出す電圧の実測データ、被災パネルを災害廃棄物として受け入れる条件の自治体ごとの運用、施工業者が廃業している場合の公的な相談先は確認していません。水没実験の数値は事業用相当の設備構成(太陽電池モジュール22枚直列など)によるものです。住宅でよくあるパネルとパワーコンディショナが直接つながる構成の測定も行われたと注記されていますが、その結果はパンフレットに掲載されておらず、当サイトでは確認していません。火災保険・共済の適用については当サイトでは扱いません。契約中の保険会社・代理店にご確認ください。