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「太陽光をつけていれば停電しても電気が使える」とよく言われます。これは半分正しく、半分は条件付きです。
2019年の台風15号のあと、資源エネルギー庁が住宅用太陽光のユーザー486件に調査をしています。そのうち388件(約8割)が停電中に自立運転機能を使えたと回答しました。一方で、使えなかった人の理由で最も多かったのは「機能を知らなかった」ではありません。
活用しなかった理由は、「機能を知らなかった」が2割と少なかったが、「機能の使い方が分からなかった」が6割と多かった。
機能はほぼ全部の設備に付いています。分かれ目は「事前に手順を知っているか」です。
使えるのは1,500Wまで
まず知っておくべき制約です。環境省の資料に明記されています。
1,500W(1.5kW)が上限です!! 接続する電気機器の容量にご注意ください。自立運転コンセントの容量には限度があります。1,500Wが上限です。エアコンやオーブンレンジなど、大電力を要するものは起動しないか、動作が不安定になります。
1,500Wは、家庭の普通のコンセント1口とほぼ同じ容量です。家中の電気が使えるようになるわけではありません。
資料が「接続を避けたほうが良い」としている機器です。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 電力大容量タイプ | エアコン、オーブンレンジ |
| 突入電流が大きいもの | 工業用ポンプ、大型テレビ |
| 雨天・曇天時は避ける | デスクトップPCなど、瞬間的な停電に弱い機器 |
実際に何が動いたか
同じ環境省の資料に、太陽光の設置者有志が実際に機器をつないだ実験の結果が載っています。数値は特定非営利活動法人 太陽光発電所ネットワークの調べです。
| つないだ機器 | そのときの発電出力 | 結果 |
|---|---|---|
| 14型ブラウン管テレビ | 1.0kW | ○ 動いた |
| 25型ブラウン管テレビ | 1.5〜1.9kW | × 動かなかった |
| 冷蔵庫 435L | 1.0kW | ○ 動いた |
| 冷蔵庫 435L(同じ機種) | 1.6kW | × 動かなかった |
| 冷蔵庫 350L | 1.5〜1.9kW | ▲ 不安定 |
| 電気ポット | 1.5kW | ○ 動いた |
| 携帯電話の充電 | 1.5kW | ○ 動いた |
| 電子レンジ(S社) | 1.0kW | × 動かなかった |
| 電子レンジ(N社) | 1.5kW | ○ 動いた |
| 炊飯器(Z社) | 1.0kW | ▲ 炊飯すると止まった |
この表で目を引くのは、同じ冷蔵庫が1.0kWでは動いて1.6kWでは動かなかったことです。発電量が多いほど動くという単純な話ではありません。資料にはこの理由が書かれていないため、当サイトでも推測は書きません。
実験の結論として、資料は次のようにまとめています。
①接続時の太陽光発電出力が1.5kWを超えると、より多くの種類の家庭用電気機器を安定して使用できる。②ブラウン管のテレビ、携帯電話の充電器が使える。③冷蔵庫・電気ポット・炊飯器・電子レンジも機種により、ほぼ使える。④場合によっては掃除機、洗濯機、井戸用のポンプも動かせる。
ここから先は当サイトの整理です。「動くかどうかは機種と、そのときの発電量の組み合わせで決まる」と読むのが正確です。カタログの消費電力だけでは判断できません。
夜は使えない
当然ですが、太陽光だけの設備は夜間に発電しません。自立運転も使えません。
雨天・曇天でも出力は大きく落ちます。環境省の資料は「雨天・曇天時には小容量の電気機器にしか使えません」としています。停電が起きる状況は、台風や大雪など天候が悪いことが多いという点は、設計上の弱点として知っておくべきです。
一方、蓄電池を併設している場合はエネ庁の資料に記載があります。
蓄電機能を併設した太陽光発電設備は、自動で自立運転に切り替わる仕様が殆どであり、蓄電量によっては夜間でも使用できるケースもあった。
手動の切り替えが要らず、夜も使える。これが太陽光単体との違いです。
蓄電池の容量や全負荷型・特定負荷型の違いは蓄電池の選び方で、見積もりで確認する項目は蓄電池の見積もりの取り方で説明しています。
停電時も使うなら蓄電池を検討する場合
太陽光だけでは夜間は使えません。蓄電池を併設すると自動で切り替わり、蓄電量によっては夜間も使えます。条件を揃えて比較するには複数社の見積もりが必要です。
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停電したときの手順
エネ庁と環境省が示している手順は同じです。7つのステップです。
- 「自立運転用コンセント」の位置を確認する(パワコン本体の右側、または別置き)
- 取扱説明書で「自立運転モード」への切り替え方法を確認する
- 主電源ブレーカーをオフにする
- 太陽光発電ブレーカーをオフにする
- 自立運転モードに切り替える
- コンセントに必要な機器を接続して使用する
- 復旧時は「自立運転モード解除 → 太陽光発電ブレーカーON → 主電源ON」の順で必ず元に戻す
③の主電源ブレーカーをオフにする理由が、環境省の資料に書かれています。
これは、自立運転をする・しないにかかわらず必ず行わなければならないことです。知らぬ間に通電し、火事になったという教訓が阪神淡路大震災で得られています。
復帰のときにも注意があります。
復帰操作後は、地域によって約150秒から300秒の待機時間があります。自立運転モードのままにしておくと売電できないのでご注意ください。
切り替え方は、パワコン本体のシールでも案内されている
上の7ステップは共通の流れです。ただし、ボタンの名前や場所、操作の細かい順番はメーカーと機種で違います。この機種ごとの差を埋めるために、太陽光発電協会(JPEA)は2020年7月、自立運転の操作方法を表示するシールの作成ガイドライン(第1版)を出しています。メーカーが違っても同じ案内で自立運転を使い始められるよう、機器に貼るシールの内容をそろえる取り組みです。
要点は次のとおりです。このガイドラインは引用に協会の許可が必要なため、当サイトの要約で示します。
- シールには「自立運転へ切り替える操作方法」「復電したときに連系運転(ふだんの売電する運転)へ戻す方法」「問い合わせ先」の3項目を必ず書く
- 停電用コンセントの最大出力などの注意点や、コンセント位置の図・写真も、できる限り載せる
- 貼る場所はメーカーが決める。屋内型はパワコンの表面カバー、屋外型は底面、底面では見えにくい場合は表示器(モニター)部分に貼る例が示されている
停電のときに最初に見る場所は、パワコン本体と、発電量を映す表示器です。シールが貼られていれば、切り替え方と戻し方がその場で分かります。
シールが見当たらない設備もあります。ガイドラインが対象にするのは手動で切り替えるタイプの住宅用システムで、停電時に自動で切り替わる機種や、蓄電池付きのシステムなどは対象外です。前の章のとおり、蓄電池を併設した設備は自動で切り替わる仕様がほとんどなので、シールがないこと自体は異常ではありません。2020年7月のガイドラインより前に設置された設備には、そもそも貼られていないことも考えられます。
ブレーカーの操作は、シールの必須項目には入っていません。シールに書かれていない場合でも、主電源ブレーカーと太陽光発電ブレーカーを切る手順(上の③と④)は飛ばさないでください。環境省の資料が、自立運転をする・しないにかかわらず必ず行うものとしている操作です。
シールも説明書も見つからないときの相談先は、設置業者かメーカーの窓口です。これは2011年3月の計画停電の際にJPEAが設置者へ出した案内から変わっていません。
住宅用太陽光発電自立運転方法につきましては、取り扱い説明書等を参照され、正しく操作くださいますようお願いいたします。なお、不明な点などにつきましては、設置業者もしくはシステムメーカにご確認、ご相談くださいますようお願い申し上げます。
なお、台風や地震で屋根や機器に被害が出ている停電は、切り替えの前に確認することがあります。壊れたパネルは、光が当たれば発電を続けるからです。災害で太陽光パネルが壊れたときの対処を先に読んでください。
今のうちに確認しておくこと
台風15号の調査で「使い方が分からなかった」が6割だった、という結果がすべてを表しています。停電してから調べるのでは間に合いません。ここから先は当サイトの整理です。
- 自立運転コンセントの場所を確認する。パワコンの右側か、別置きか、そもそも付いているか
- 切り替え手順を紙に書いて貼っておく。停電時はスマホで検索できるとは限りません
- 延長コードを用意しておく。コンセントの場所は選べないため、資料でも推奨されています
- 一度練習しておく。実際に切り替えてみないと、当日はできません
なお、自立運転コンセントが付いていない設備もあります。環境省の資料には「現行のほとんどの量産品は自立コンセントを設置できます。導入時に、このオプションを注文していない場合は付属しません」とあります。これから設置する方は、見積書にこの項目が入っているかを確認してください。
まとめ
- 台風15号の調査では、ユーザー486件のうち約8割(388件)が自立運転を使えた
- 使えなかった人の6割の理由は「使い方が分からなかった」。機能の有無ではない
- 出力の上限は1,500W。エアコンやオーブンレンジは動かない
- 実験では同じ冷蔵庫が1.0kWで動き、1.6kWで動かなかった。機種と発電量の組み合わせで決まる
- 夜間と悪天候時は使えない。停電が起きるのは天候が悪いときが多い
- 蓄電池を併設すると自動で切り替わり、蓄電量によっては夜間も使える
- 主電源ブレーカーを落とす手順は、通電火災を防ぐために必須
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このほかの基礎知識は太陽光発電の基本ガイドにまとまっています。
この記事の情報について
以下を2026年8月12日に確認したものです。引用は原文のままです。
- 環境省「太陽光発電の賢い使い方 —停電・災害時の自立運転コンセントの活用」(全8ページ・編集協力:特定非営利活動法人 太陽光発電所ネットワーク)
- 資源エネルギー庁「太陽光発電設備の自立運転機能の周知について」(2019年12月6日・資料3)
太陽光発電協会(JPEA)の資料は次の2点です。確認日はいずれも2026年8月13日です。
- 「住宅用太陽光発電システムにおいて自立運転機能の操作方法を表示するシール等の作成ガイドライン(第1版)」(2020年7月・住宅部会作成)。本文では同ガイドラインの利用条件に従い、引用ではなく要約で扱っています
- 「停電に伴う住宅用太陽光発電システムの自立運転について」(2011年3月14日)
確認していない範囲を書いておきます。
- 実験データは太陽光発電所ネットワークが実施したもので、当サイトが再現したものではありません。実験の年次は資料に明記されていません
- 同じ冷蔵庫が発電量1.0kWで動き1.6kWで動かなかった理由は、資料に記載がありません。当サイトも推測を書いていません
- 台風15号の調査は2019年のものです。その後の設備の仕様変更は確認していません
- 自立運転コンセントの装備率88.3%(日本電機工業会調べ)は環境省資料の記載ですが、調査年次の記載がありません
- 1,500Wという上限は環境省資料の記載です。個別のメーカー・機種の仕様は確認していません。ご自宅の設備については取扱説明書をご確認ください
- 操作方法シールが実際にどのメーカー・機種で貼られているかの普及状況は確認していません。2020年7月のガイドライン公表より前に設置された機器の表示状況も確認していません
ソーラー資料室



