太陽光パネルのカタログはどこを見るか|「最大でも70〜80%」と決められている

基礎知識公開 2026年8月12日
太陽光パネルのカタログはどこを見るか|「最大でも70〜80%」と決められている

※本記事にはプロモーションが含まれます

パネルを選ぶとき、カタログに並んだ数字をどう読めばいいのか。

実は、カタログの書き方には業界団体が定めたルールがあります。太陽光発電協会(JPEA)の「表示ガイドライン」です。2026年6月から新しい版が適用されています。

このルールを知っていると、カタログの数字が何を意味するのか、どこに但し書きがあるのかが分かります。

カタログの出力は「25℃・快晴」のときの値

パネルの「公称最大出力」には、次の但し書きを付けるよう定められています。

表記の数値は、JIS C 61215-2 で規定する AM1.5、放射照度1000W/㎡、モジュール温度25℃での値です。

放射照度1000W/㎡は、よく晴れた日の南中時に近い強さです。モジュール温度25℃は、パネル自体の温度です。

この条件が揃うことは、実際にはあまりありません。夏の晴天時、屋根の上のパネルは25℃をはるかに超えます。

業界団体は「70〜80%程度」と書かせている

ガイドラインは、システムの仕様を載せるときに次の主旨の文章を併記するよう求めています。

実使用時の出力(発電電力)は、日射の強さ、設置条件(方位・角度・周辺環境)、地域差、及び温度条件により異なります。発電電力は最大でも次の損失により、太陽電池容量の70〜80%程度になります。

「最大でも70〜80%」と業界団体自身が明記しています。5kWのシステムなら、最もよい条件でも3.5〜4kWということです。

この数字は営業トークではなく、カタログに書くべき内容として定められたものです。見積書のシミュレーションがこれを大きく超えていたら、根拠を聞いてください。発電量の見方は発電量シミュレーションはどこまで信じられるかで扱っています。

いちばん効率が落ちるのは夏

ガイドラインは、年間発電量を計算するときの補正係数を月ごとに示しています。結晶系シリコン(住宅で最も多いタイプ)の値です。

月 補正係数
1〜3月 0.90
4〜5月 0.85
6〜9月 0.80
10〜11月 0.85
12月 0.90

夏がいちばん低くなります。日射は強いのに、パネルが熱を持って効率が落ちるためです。

興味深いのは、パネルの種類で傾向が変わることです。CIGS/CIS系では7〜8月が0.95と、逆にいちばん高くなります。

月 結晶系シリコン CIGS/CIS系
1月・12月 0.90 0.75
7〜8月 0.80 0.95

ここから先は当サイトの整理です。暑い地域なら、種類によって年間の発電量の出方が変わる可能性があります。ただしガイドラインはアモルファスシリコンの係数も示しており、種類ごとに傾向が異なります。どれが有利かは地域と条件次第なので、業者に確認してください。

カタログの条件を揃えて見積もりを取る

同じ枚数でも、想定した方位と角度が違えば発電量の数字は変わります。自分の屋根の条件を伝えて、複数社に出してもらってください。

タイナビで無料一括見積もりを依頼する

広告。申し込みは各社の公式サイトで行われます。

カタログの発電量は「5kW・真南・30度」の想定

カタログに載っている年間推定発電量は、次の条件で計算されています。

設置容量:5kW程度、設置方位:真南(0°)、設置角度:30°のシステムを想定し、推定発電量値を表記する。

地域別の数字は、全国10都市(札幌・仙台・東京・名古屋・金沢・大阪・広島・高松・福岡・那覇)で示すこととされています。

自分の家が真南でなければ、この数字はそのまま当てはまりません。方位による違いは屋根の向きと発電量で扱っています。

考慮されていないもの

ガイドラインは、次の但し書きも求めています。

年間推定発電量には、影、積雪、経年劣化、出力制御等による影響は考慮されておりません。

影の影響は小さくありません。部分的な影でもパネル全体が発電しなくなることがあります。

「メンテナンスフリー」と書いてはいけないことになっている

ガイドラインには、使ってはいけない表現も定められています。

「お手入れ不要」や「メンテナンスフリー」など、保守点検が一切必要ないように誤認させる表現は使用しない。

代わりに、次の文章を併記するよう例示されています。

長期にわたりご使用いただく太陽光発電システムには定期点検の実施が必要です。

営業で「メンテナンス不要です」と言われたら、業界団体のルールから外れています。維持費については太陽光パネルの寿命と維持費をご覧ください。

保証で確認すべき8項目

ガイドラインは、保証を訴求する場合に明記すべき項目を挙げています。

  • 保証内容
  • 保証期間
  • 出力保証値
  • 保証対象製品
  • 有償・無償の区分
  • 保証条件
  • 保証範囲
  • 免責事項

これらは「できるだけ同一場所に明記することが望ましい」とされています。そのまま見積もり時のチェックリストとして使えます。

保証の種類については太陽光の保証は3種類あるで解説しています。

間違えやすい2つの表記

防眩と低反射は別物

2026年版で追加された項目です。

表記 内容
防眩(ガラス) ガラス表面を凹凸に加工し、反射光を散乱させる
低反射(ガラス) ガラス表面に反射防止膜を施し、反射を減らす(ARコート)

そのうえで、次の注意書きがあります。

防眩/低反射仕様は光害が発生しないことを保証するものではございません。

耐荷重は2つの数字がある

こちらも2026年版で追加されました。「設計荷重」と「試験荷重」を併記し、どちらが保証荷重になるかを区別できるように記載することが推奨されています。

あわせて「耐荷重値は固定方法によって変わる」とも書かれています。積雪地域では確認しておきたい項目です。

ついでに使える数字

ガイドラインは、カタログで使う統一値も定めています。

項目 値
一般家庭の平均年間電力消費量 4,597kWh/年
エネルギーペイバックタイム(結晶系) 1.5年
CO2削減効果(結晶系) 377.5g-CO2/kWh

年間電力消費量4,597kWhは、EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2026年度)に基づく数字です。自分の家の使用量と比べる目安になります。容量の決め方は太陽光は何kW載せればいい?をご覧ください。

まとめ

  • カタログの出力は「1000W/㎡・25℃」という試験条件での値
  • 業界団体が「発電電力は最大でも70〜80%程度」と書かせている
  • 結晶系は夏(6〜9月)の補正係数0.80がいちばん低い。熱で効率が落ちる
  • CIGS/CIS系は逆に7〜8月が0.95。種類で傾向が違う
  • カタログの発電量は5kW・真南・30度の想定。自分の屋根とは違う
  • 影・積雪・経年劣化・出力制御は考慮されていない
  • 「メンテナンスフリー」は使ってはいけない表現とされている
  • 保証は8項目を明記すべきとされている。チェックリストに使える
  • 防眩と低反射は別物。どちらも光害が起きないことを保証しない

複数社の数字を並べて比べる

前提条件が書かれているかどうかまで含めて比較してください。

タイナビで無料一括見積もりを依頼する

広告。申し込みは各社の公式サイトで行われます。

この記事の情報について

以下を2026年8月12日に確認したものです。引用は原文のままです。

確認していない範囲です。

  • これは業界団体の自主的なガイドラインであり、法令ではありません。ガイドライン自身も「これに従いさえすれば全ての法令の条件を満たすというものではない」と述べています
  • 個別のメーカーがこのガイドラインに従っているかは確認していません。当サイトは特定のメーカーの製品を比較・推奨していません
  • 補正係数はガイドラインが示す参考値です。実際の発電量を保証するものではありません。なおCIGS/CIS系の係数はガイドライン上「現在、見直し中」とされている箇所があります
  • パネルの種類による有利・不利は、地域・設置条件・製品によって変わります。当サイトでは比較検証していません