太陽光の設置義務がある自治体は5つ|国は注文戸建の87.5%を目標にしている

統計・レポート公開 2026年8月13日
太陽光の設置義務がある自治体は5つ|国は注文戸建の87.5%を目標にしている

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太陽光の設置を義務づけている自治体は、東京都・川崎市・京都府・京都市・群馬県の5つです。仙台市が2027年4月に加わる予定です。

ただしそのほとんどは、家を建てる人ではなく事業者に課される義務です。京都府・京都市だけが建築主本人にかかります。

そして自治体より広い範囲で効いているのが国の制度です。大手が建てる注文戸建の87.5%に太陽光を載せるという目標が、2027年度に向けて置かれています。

「太陽光が義務化された」という話は営業の場面でもよく出ます。誰に何が義務づけられているのかを、各制度の公表資料で確認しました。

制度が始まった順に並べる

制度が始まった時期(上:事業者に量で課す型/下:説明・建築主に課す型) 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 京都府 建築士の説明義務 群馬県 条例を公布 京都府・京都市 300㎡以上に導入義務 川崎市 建築士の説明義務 東京都・川崎市 事業者に設置義務 仙台市 施行予定 国 トップランナーの目標年度

まず国の制度。全国が対象になる

国土交通省の住宅トップランナー制度です。一定戸数以上を供給する事業者に、省エネ性能の目標を課しています。

この目標のなかに、太陽光発電設備の設置率が入っています。

住宅の区分 対象になる事業者 太陽光の設置率 目標年度
注文戸建住宅 年間300戸以上 87.5% 2027年度
建売戸建住宅 年間150戸以上 37.5% 2027年度
賃貸アパート 年間1,000戸以上 設定なし —
分譲マンション 年間1,000戸以上 設定なし —

注文戸建の87.5%が、いちばん重い数字です。大手ハウスメーカーで注文住宅を建てる場合、事業者の側は「原則として載せる」前提で動くことになります。

建売の37.5%と差があるのは、この記事で参照した資料に理由が書かれていません。当サイトでも推測は書きません。

これは「努力義務」だが、放置できるものではない

制度の位置づけを、国土交通省はこう説明しています。

対象事業者には、トップランナー基準の達成に係る努力義務。目標年度において、達成状況が不十分であるなど、省エネ性能の向上を相当程度行う必要があると認めるときは、国土交通大臣は、当該事業者に対し、その目標を示して性能の向上を図るべき旨の勧告、その勧告に従わなかったときは公表、命令(罰則)が可能。

努力義務ですが、勧告・公表・命令という段階が用意されています。事業者は毎年、供給実績を国に報告します。

「設置が困難な住宅」は数から除ける

ここが実務上いちばん効きます。設置が難しい住宅は、設置率を計算するときの母数から外せます。

国土交通省の報告資料には、外せる理由が13項目挙げられています。

理由 内容(資料の定義を要約)
雪 垂直積雪量1m以上の地域(融雪機能付きモジュールで対応した場合を除く)
高度制限 敷地85㎡未満で高度地区の高さ制限がある地域(平屋を除く)
北側斜線かつ狭小地 敷地85㎡未満で北側斜線制限がある地域
日影規制 条例で北側の高さ制限を受ける区域
日照条件 周囲に高層の建物や傾斜地があり、日照が著しく低下する可能性
関係法令等の規制 景観地区など、形態・意匠のルールで設置が困難
光害 隣地と高低差があり、隣の住戸に光害を与える可能性(防眩仕様で防いだ場合を除く)
台風災害・風速制限 飛来物による破損の可能性、風速制限を超える可能性
塩害/降灰/標高制限 メーカーの保証対象外になる地域
屋根制約 屋根の形状が不整形、または設置可能面積が小さい
その他 自由記述

ここから先は当サイトの整理です。この一覧は、そのまま「太陽光が向かない条件」の公的なリストとして読めます。自分の家が当てはまるなら、載せない判断に国の資料上の裏付けがあることになります。

屋根の向きや形状が発電量にどう効くかは屋根の向きと発電量で、載せないほうがいいケースは太陽光をやめたほうがいいケースで扱っています。

設置義務がある自治体は5つ

自治体 始まった時期 義務を負う人 対象の建物
東京都 2025年4月 事業者(約50社見込み) 延べ2,000㎡未満の新築
川崎市 2025年4月 事業者 制度1は2,000㎡以上/制度2は2,000㎡未満
京都府 2022年4月 建築主 延べ300㎡以上
京都市 府と同じ枠組み 建築主 延べ300㎡以上
群馬県 条例は2022年3月公布 建築主(特定建築主) 延べ2,000㎡以上
仙台市 2027年4月施行予定 事業者 2,000㎡未満/2,000㎡以上の2本立て

並べると、設計が2種類に分かれているのが見えます。

東京都・川崎市・仙台市は「事業者にまとめて課す」型

この3つは、1棟ごとの義務ではありません。一定量以上を供給する事業者に、供給する建物全体で基準を満たすことを求めます。

川崎市は、市民向けのページでこう書いています。

日照条件や立地条件などによっては、設置に適さない建物もあるため、必ずしも全ての新築建物に設置を求めるものではありません。

罰則についても明記があります。

報告書に基づいて、事業者単位での適合状況等(適合・不適合等)を市のホームページで公表することで、事業者の事業活動を脱炭素化へ誘導することを目的としている制度であり、基準に適合しない場合における罰則規定はありません。

仙台市も同じ立て付けです。

大手ハウスメーカーや大規模建築物の建築主に対し、建築物の新築時に、一定量の太陽光発電の導入や断熱の取り組みを義務付けるものです。※市民の皆様に直接義務を課す制度ではありません。

東京都の制度で誰が義務者になるかは東京都の太陽光義務化は誰が対象かで、都のQ&Aの原文まで確認しています。

京都府・京都市だけは建築主に直接かかる

京都は作りが違います。建物の規模で線を引き、その建物を建てる人に義務を課します。

区分 延べ面積 義務の内容
特定建築物 2,000㎡以上 再エネ設備の導入(導入義務量あり)
準特定建築物 300㎡以上2,000㎡未満 年間30,000メガジュール以上の再エネ設備

準特定建築物の30,000メガジュールがどのくらいかは、京都市が例を出しています。

1枚あたり最大出力320Wの太陽光パネルを10枚利用すると、定格容量は3.2kWとなります。定格容量3.2kWの太陽光パネル(結晶系)を、真南向きに傾斜角30°で設置した場合、年間約34,500メガジュールとなります。

3.2kWで足りる計算です。住宅用の平均的な容量より小さい水準になります。

ふつうの戸建は対象外になる

300㎡は、およそ91坪です。一般的な戸建住宅の延べ面積は100〜130㎡程度なので、多くは対象になりません。

京都府は適用除外も定めています。

  • 建築面積が150㎡未満の場合
  • 伊根町伝統的建造物群保存地区の保存地区内の建造物
  • 完成後に撤去される仮設の建築物など

設備は建物の上でなくても構いません。2022年4月の改正で同一敷地内の駐車場や既存建物への設置も認められるようになりました。

「説明を受ける」制度は義務とは別にある

設置義務がなくても、説明は受けるという制度が並行して動いています。ここは見落とされやすいところです。

自治体 始まった時期 説明する人 対象
京都府 2021年4月 設計を行う建築士 延べ10㎡以上の建築物
川崎市 2024年4月 建築士 建築物の新築等に係る設計
群馬県 — 特定建築物の設計者 延べ2,000㎡以上

京都府の10㎡は、ほぼすべての建物が入る水準です。府は説明する内容も分けています。

  • 延べ300㎡以上…環境負荷低減効果/導入・設置可能な再エネ設備/得られる電気または熱の最大量
  • 延べ300㎡未満…環境負荷低減効果

川崎市は、この制度を作った理由を書いています。

川崎市が太陽光発電設備を導入された市民の方に行たアンケートでは、その設備導入のきっかけは、「業者からの勧め」との回答が最も高い割合を占めていました。

説明した書面の写しは、川崎市も京都府も3年間の保管が求められます。

自分の家が対象かを見分ける

ここから先は当サイトの整理です。順番に見てください。

  1. 京都府・京都市で建てるか。そうでなければ、建築主本人に設置義務がかかる制度は今のところありません
  2. 京都で、延べ300㎡以上か。300㎡未満なら義務の対象外です
  3. 大手ハウスメーカーに頼むか。義務者ではなくても、事業者側の目標があるため提案に太陽光が入りやすくなります

3番目が実際にはいちばん影響します。義務を負っていないのに、初期見積もりに太陽光が載っている、という形で出てきます。

載せる価値があるかどうかは、義務とは別の話です。費用は太陽光発電の費用はいくらか、回収の考え方は電気代はいくら安くなるかで扱っています。

「義務化されたので」という営業には注意する

国民生活センターには、「法律で義務化された」と言って点検を勧め、高額な工事の契約に進むという相談が寄せられています。件数は2024年度で613件、7年で10.8倍です(点検相談のレポート)。

この記事で見たとおり、既に建っている家に、後から設置義務が生じる制度はありません。どの制度も新築が対象です。

まとめ

  • 設置義務がある自治体は東京都・川崎市・京都府・京都市・群馬県の5つ。仙台市が2027年4月に施行予定
  • 東京都・川崎市・仙台市は事業者に課す型。1棟ごとの義務ではなく、施主は義務者にならない
  • 川崎市は罰則規定なしと明記。仙台市も「市民に直接義務を課す制度ではない」と明記
  • 京都府・京都市だけが建築主に直接かかる。延べ300㎡以上が対象で、準特定建築物は年間30,000MJ以上(太陽光なら約3.2kW相当)
  • 群馬県は2,000㎡以上のみ。戸建は対象外
  • 国は住宅トップランナー制度で注文戸建87.5%・建売37.5%という設置率目標(2027年度)を設定
  • 努力義務だが勧告・公表・命令(罰則)の段階がある
  • 設置が困難な住宅は母数から外せる。その理由が13項目、国の資料に列挙されている
  • 既存の家に後から義務が生じる制度はない。すべて新築が対象

義務かどうかに関係なく、比べてから決める

義務があってもなくても、載せる価値があるかは屋根の条件で変わります。ハウスメーカーの提案が1社だけなら、外の見積もりも取って比べてください。

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この記事の情報について

以下を2026年8月13日に確認したものです。引用は原文のままです。

確認していない範囲です。ここが重要です。

  • 全国の自治体を網羅的に調べたものではありません。ここに挙げた6自治体以外にも制度がある可能性があります。市区町村の独自制度までは追えていません
  • 京都市の制度の施行時期は確認できていません。京都府と同じ枠組みの制度が京都市の条例にもありますが、府と同一の日付かどうかは確かめていません
  • 群馬県の義務の施行日は、県のページに明記がありません。条例の公布日(2022年3月15日)と、特定建築物編の指針の公表日(2022年8月31日)を記載しています
  • 各制度の条例・規則の条文そのものには当たっていません。各自治体が公表している解説ページの記載を整理したものです
  • 住宅トップランナー制度の目標年度は、国土交通省の資料の表から読み取ったものです。賃貸アパート・分譲マンションの目標年度は本文に記載していません
  • 建売37.5%と注文87.5%に差がある理由は、参照した資料に書かれていません。当サイトでも推測は書きません
  • 13項目の「設置が困難な住宅」は、事業者が報告するときの区分です。個々の住宅がどれに当たるかを判定する基準ではありません
  • 義務を果たさなかった場合の実際の運用(勧告や公表が行われた事例があるか)は確認していません
  • 各自治体の補助金との関係は扱っていません。補助金は47都道府県の補助金をご覧ください