太陽光発電の費用はいくら【2026年8月】国が使う25.5万円/kWは平均ではない

費用公開 2026年8月8日
太陽光発電の費用はいくら【2026年8月】国が使う25.5万円/kWは平均ではない

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住宅用太陽光の費用について、国は毎年ひとつの平均値を公表しています。2025年に設置された新築案件の平均は28.9万円/kWでした。ところが同じ委員会が売電価格を決めるときに使っている費用は25.5万円/kWです。3.4万円の差がなぜあるのかを資料で追うと、この2つは種類の違う数字だと分かります。

費用を出しているのは、売電価格を決める委員会

住宅用太陽光の費用を継続的に集計している公的機関は、経済産業省の調達価格等算定委員会です。FITの買取価格を決める委員会で、価格を決める材料として実際の設置費用を集めています。2026年2月5日にまとまった「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」に、こう書かれています。

新築案件について、設置年別に見ると、2025年設置の平均値は28.9万円/kW(中央値29.4万円/kW)となり、2026年度の想定値(25.5万円/kW)を上回り、2024年設置より0.2万円/kW(0.6%)、2023年設置より0.5万円/kW(1.9%)増加した。平均値の内訳は、太陽光パネルが約47%、工事費が約29%を占める。

ここで押さえておきたいのは、公表されているのが1kWあたりの単価だという点です。「太陽光はいくらか」という問いに、国は総額では答えていません。総額は容量を掛けて自分で出すことになります。

同じ2025年に、3つの平均値がある

もうひとつ、単価には区分があります。委員会の資料は新築・既築・全体という3つの系列を別々に載せていて、同じ年でも値が違います。

住宅用太陽光(10kW未満)のシステム費用平均値(万円/kW)
系列 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
新築 27.1 26.9 28.3 28.7 28.9
既築 28.3 28.5 29.1 32.1 30.1
全体 27.5 27.4 28.5 29.4 29.0

2025年で見ると、新築28.9・既築30.1・全体29.0。世の中で相場として引用される数字が、このうちどれなのかは書かれていないことが多いはずです。今ある家に後から載せるなら、比べる相手は新築の28.9万円/kWではなく既築の30.1万円/kWになります。

もうひとつ、2025年は新築だけが増えて既築は下がっています。既築は2024年の32.1万円/kWから2.0万円/kW下がった。方向が逆になった年です。理由を説明した記述は、今回確認した範囲では資料に見当たりませんでした。費用が年ごとにどう動いてきたかは費用の推移にまとめています。

25.5万円/kWは、安いほうから3割に入る価格帯

では、価格を決めるときに使う25.5万円/kWは何なのか。意見書には、その位置づけがはっきり書かれています。

住宅用太陽光発電(10kW未満)のシステム費用について、過去5年の案件において2026年度における想定値(25.5万円/kW)の水準について確認すると、2021年は上位43%水準、2022年は上位41%水準、2023年は上位35%水準、2024年上位29%水準、2025年上位30%水準と推移している。

引き続き、上位30%のトップランナー水準に着目すると、25.6万円/kWと、想定値(25.5万円/kW)と概ね同水準であった。

つまり25.5万円/kWは平均ではなく、実際の契約のうち安いほうから約3割に入る価格帯です。委員会はこれを「トップランナー水準」と呼んでいます。平均28.9万円/kWとの差は集計のずれではなく、意図してそこに置かれた数字だと読めます(当サイトの整理です)。

25.5万円/kW は、その年の案件の何割が到達していた水準か 2021年 上位 43% 2022年 上位 41% 2023年 上位 35% 2024年 上位 29% 2025年 上位 30% (同水準は 25.6 万円/kW) 同じ 25.5 万円/kW でも、到達している案件の割合は 43% から 30% に下がっている 出典:調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」令和8年2月5日/確認日 2026年8月8日

この推移がもうひとつのことを示しています。金額としての25.5万円/kWは据え置かれているのに、到達している案件の割合は2021年の43%から2025年の30%へ下がった。据え置きという言葉から受ける印象と違い、実際には年を追うごとに厳しい水準になっています。売電価格がどう決まっているかは売電価格のページに、想定値と実績のずれ全体は元が取れるのかに整理しました。

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28.9万円/kWの中身

平均値の内訳も公表されています。2025年設置の新築案件は次のとおりです。

2025年設置(新築)のシステム費用の内訳(万円/kW)
項目 金額 構成比
設備費 パネル 13.5 約47%
設備費 パワコン 5.3 —
設備費 架台 3.2 —
設備費 その他 0.2 —
工事費 8.5 約29%
値引き ▲1.7 —
合計 28.9 —

足し上げると13.5+5.3+3.2+0.2+8.5で30.7、そこから値引き1.7を引いて29.0。四捨五入の関係で本文の28.9と揃います(当サイトの検算です)。パネルが約47%、工事費が約29%という比率は、資料本文にも明記されています。値引きが独立した項目として集計されていることも、見積書を読むうえでは覚えておく価値があります。内訳の見方は見積書のどこを見るかで扱っています。

住宅用の数字と事業用の数字を混ぜない

同じ意見書には、事業用の費用も載っています。こちらは地上設置の10kW以上で、2025年設置の平均が20.3万円/kW、中央値19.7万円/kW。内訳はパネルが約33%、工事費が約33%です。

住宅用28.9万円/kWと事業用20.3万円/kWでは、1kWあたりで8万円以上の開きがあります。規模が違えば単価が下がるのは自然ですが、「太陽光は20万円/kW台前半」といった書き方に出会ったら、それがどちらの区分の話かを確かめる必要があります。

総額に直すときの順番

ここから先は当サイトの整理で、公的な基準ではありません。単価から自分の家の総額を見積もるなら、順番は次のようになります。

  1. 新築か既築かを決める。既築なら30.1万円/kW、新築なら28.9万円/kWが2025年設置の平均
  2. 載せる容量を掛ける。4kWなら既築で約120万円、5kWなら約151万円という桁になります
  3. 手元の見積もりの総額を容量で割り、同じkW単価に直してから比べる。総額どうしの比較は容量が違うと意味を失います
  4. 25.5万円/kWを下回っていれば、国が置いたトップランナー水準の側にいる。上位30%という位置づけを思い出してください
  5. 補助金の有無は単価の外側で効きます。使える制度は補助金の一覧で確認してください

当サイトは太陽光を設置した立場ではなく、設置費用を実測した経験もありません。ここに書いたのは公表資料の数字と、その区分の読み方だけです。屋根の形・工事の条件・時期によって、実際の金額は上下します。

まとめ

「太陽光の費用はいくら」に対する公的な答えは、1kWあたりの単価で出ています。2025年設置の平均は新築28.9万円/kW、既築30.1万円/kW。そして価格制度で使われる25.5万円/kWは平均ではなく、上位30%にあたる水準です。数字を見たら、まずどの系列でどの位置の値なのかを確かめる。それだけで、比較の精度はかなり変わります。

次に見るなら、屋根に何kW載るかは屋根の条件、複数社の単価を並べる手順は見積もりのページ、費用全体の地図は費用のページにあります。蓄電池を足すかどうかは蓄電池の選び方、やめる判断の材料はやめたほうがいいケースにまとめています。

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記事の内容を自分の家に当てはめるには、実際の見積もりで数字を見るのが確実です。1社だけでは相場が判断できないため、複数社から取ることをおすすめします。

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この記事の情報について

本文の数字はすべて、下記の公表資料から直接取得したものです。取材や実測に基づく記述は含んでいません。「当サイトの整理」「当サイトの検算」と書いた箇所は当サイトの解釈・計算であり、公的機関の見解ではありません。

  • 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」令和8年2月5日PDF(2025年設置の平均値・中央値・想定値25.5万円/kWの位置づけ・事業用の平均値)/確認日 2026年8月8日
  • 調達価格等算定委員会(第110回)2026年1月 事務局資料1「太陽光発電について」PDF(新築・既築・全体のシステム費用平均値の推移、2025年設置の内訳)/確認日 2026年8月8日

確認していない範囲は次のとおりです。システム費用が税込か税抜かは、意見書・事務局資料のいずれにも明記がありませんでした。「上位30%水準」の算出に使った案件数、容量帯別(3kW台・4kW台など)のkW単価、地域別の単価、既築が2024年から2025年にかけて下がった理由についても記載を見つけられていません。資料には四分位とみられる数値も載っていますが、内訳の合計値と区別できなかったため本文では扱っていません。住宅用の容量帯別・地域別の単価を示した公的資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。実際の費用は個別の条件で変わります。契約前の判断が必要な場合は、複数社の見積もりと自治体の窓口で確認してください。