太陽光の売電価格2026年度|24円は4年だけ、5年目から8.3円

売電・経済性公開 2026年8月7日
太陽光の売電価格2026年度|24円は4年だけ、5年目から8.3円

「2026年度の売電価格は24円」。これは半分しか合っていません。

24円なのは最初の4年だけです。5年目からは8.3円になります。3分の1近くまで下がります。

資源エネルギー庁の価格表に、そう書かれています。この記事では、その仕組みと、10年で見たときに何が変わったのかを確認します。

2026年度の住宅用の売電価格

住宅用(10kW未満)でFITの認定を受けた場合の価格です。「調達価格」は制度上の呼び名で、電力会社が買い取る1kWhあたりの金額のことです。

期間 1kWhあたりの調達価格
1〜4年目 24円
5〜10年目 8.3円
調達期間 10年間
2026年度 住宅用(10kW未満)の売電価格(円/kWh) 0 10 20 24円 8.3円 2025年度上期は10年ずっと15円 1〜4年目 5〜10年目 4年分の合計 96.0円 6年分の合計 49.8円

「24円」という数字だけを見ると、2025年度上期の15円より大幅に上がったように見えます。それが4年で終わることを書いていない記事は、読者の見通しを狂わせます。

補足を2つ。価格は「認定を受けた年度」で決まり、あとから変わりません。また、5年目に何か手続きが必要になるわけではありません。調達期間10年間はひとつづきで、その途中の5年目から単価が切り替わります。

これは「初期投資支援スキーム」という制度

この二段構造には名前があります。資源エネルギー庁の価格表の脚注に、こう書かれています。

事業用太陽光(屋根設置)・住宅用太陽光の2026年度の調達価格・基準価格については2025年度下半期にも適用。国民負担には中立的な形で、投資回収の早期化を図る価格設定(初期投資支援スキーム)を採用。

調達価格等算定委員会の資料にも、同じことが書かれています。

国民負担が増えない範囲の中で、住宅用太陽光、事業用太陽光(屋根設置)の初期投資の支援を行う期間・価格について、自家消費の促進にも配慮しつつ、投資回収の早期化効果の最大化を図る。

「国民負担が増えない範囲」。つまり、支払う総額を増やす制度ではありません。受け取る時期を前に寄せる制度です。

「5年目に抜ければいい」はできない

ここまで読むと、当然こう考えます。「4年で24円を受け取り切って、8.3円になる5年目にFITをやめて、別の買取先に乗り換えればいいのでは」と。

それはできません。資源エネルギー庁のリーフレットに、この質問がそのまま載っています。

Q. 初期投資支援スキームの調達価格が下がる時期(住宅用は5年目以降、事業用は6年目以降)に、調達期間の途中ではありますが、FITをやめて、nonFITで自家消費+余剰売電に切り替えることは可能ですか。

A. 原則として、再エネ特措法に基づく認定を受けた事業は、認定発電設備を廃止(撤去及び処分)しない限り、FIT/FIP制度から離脱することは認められていません。

そして、このスキームにはさらに明示的な縛りがかかっています。

「階段型の価格設定」による初期投資支援スキームの適用を受ける案件は、調達期間中に特定契約によらない売電を行うことができない旨の条件付き認定を行うこととします。

「条件付き認定」です。10年間、この価格体系から抜けられない前提で認定される、ということです。

リーフレットによれば、これは委員会が「特定契約外での売電ができないという前提のもとで」階段型を採用した経緯によるものです。抜けられないことと引き換えに、前半を高くしているという構造になっています。

したがって、判断すべきなのは「4年間の24円」ではなく、「10年間この設計に乗るかどうか」です。

10年で見ると、増えていない

毎年同じ量を売電したと仮定して、1kWhあたりの10年分を足すとこうなります。

2026年度
(24円→8.3円)
2025年度上期
(15円で固定)
1〜4年目の合計 96.0円 60.0円
5〜10年目の合計 49.8円 90.0円
10年の合計 145.8円 150.0円
10年の単純平均 14.58円/kWh 15.0円/kWh
前半4年が占める割合 65.8% 40.0%

10年の合計は、むしろ4.2円(2.8%)少なくなっています。増えたのではありません。前に寄せただけです。

そのかわり、受け取る額の3分の2が最初の4年に集まります。制度の狙いは「投資回収の早期化」なので、設計どおりです。

この計算には2つの前提があります。これを外すと誤ります。

  • 毎年同じ量を売電する前提です。実際は経年劣化と自家消費率の変化で売電量は変わります
  • お金の時間価値を計算に入れていません。早く受け取るお金には価値があります。合計が少ないことは、そのまま「損」を意味しません

後半の8.3円について、委員会自身が書いていること

ここがこの記事でいちばん重要な部分です。調達価格等算定委員会の資料に、こう書かれています。

昨年度の本委員会において、住宅用太陽光に適用する初期投資支援スキームとして、住宅用太陽光発電を設置する家庭等にとって、「階段型の価格」を採用してFIT期間の後期に低い価格でのFIT支援を受けるよりも、「支援期間の短縮」を採用して小売電気事業者の買取メニューによる売電を行った方が、より大きな収益を確保できる可能性があり、「支援期間の短縮」が適切であるとの議論が行われた。

「階段型の価格」が今の二段構造、「支援期間の短縮」は10年より短い期間でFITを終える案です。後半に8.3円でFIT支援を受けるより、小売電気事業者の買取メニュー(FITを使わずに電力会社の独自プランで売る方法)のほうが収入が大きくなる可能性がある、と制度を決める側が書いています。

ただし、これは制度をどう設計するかの比較として書かれたものです。「5年目でFITをやめたほうがいい」という意味ではありません。FITの途中で買取先を変えられるかどうか、変えた場合にどうなるかは、この記事では扱いません。

実際、同じ資料で調達期間終了後の売電価格の想定値は10.0円/kWhとされています。10年のFITが終わったあと(いわゆる卒FIT)に、電力会社に売る場合の想定です。FIT5〜10年目の8.3円より高い数字です。

ただし、同じ資料には条件も書かれています。

10円/kWh水準以上のメニューは、当該小売電気事業者による電気供給とのセット販売や、蓄電池併設等の条件付きであることが比較的多いため、状況を注視することが重要。

10円以上で買ってもらうには、その会社から電気を買うことや蓄電池を入れることが条件になっていることが多いということです。「卒FITのほうが高い」と単純には言えません。

この記事では、8.3円とFIT外の売電のどちらが有利かの結論は出しません。個別の買取メニューの条件次第で変わり、公的な比較データがないためです。

推移で見ると「24円」の意味が変わる

住宅用(10kW未満)の調達価格の推移です。出力制御対応機器の設置義務がない場合の価格を並べています(2019年度以前は、設置義務がある地域では2円ほど高い価格が設定されていました)。

年度 10kW未満の調達価格
2018 26円
2019 24円
2020 21円
2021 19円
2022 17円
2023 16円
2024 16円
2025 上期 15円
2025 下期・2026・2027 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年)

「24円」は2019年度と同じ水準です。ただし2019年度は、10年間ずっと24円でした。同じ24円でも、意味が違います。

2027年度は同じ。2028年度以降は決まっていない

資源エネルギー庁の価格表では、2027年度も24円(〜4年)/8.3円(5〜10年)です。

2028年度以降については、2026年1月の委員会でこう議論されています。

卒FIT後のビジネスモデルが成熟するまでの猶予期間として更に2年程度の準備期間を設けることとし、2029年度に支援期間の短縮の適用を開始することを基本とすることとしてはどうか。

「〜としてはどうか」という案の段階です。決定ではありません。

昨年度の時点では、階段型の価格は2026年度まで適用とされ、2027年度以降の扱いは改めて議論することになっていました。その後、業界団体へのヒアリングで「買取期間が10年間から短縮されることについて懸念が示されている」との意見があり、さらに2年程度の準備期間を置く案になっています。

業者の試算を見るときに確認すること

ここからは、上記の事実をもとに当サイトが整理したものです。公的な基準ではありません。

確認すること なぜ
売電収入が何円/kWhで計算されているか 全期間を24円で計算していたら、5年目以降が過大になる
5年目以降が8.3円になっているか ここを織り込んでいない試算は、10年の収入が実態より大きく出る
11年目以降をどう置いているか FITは10年で終わる。その後の想定値を書いているか
自家消費率をいくつに置いているか 売る量が変われば売電収入は変わる。公的な平均値は存在しない
認定を受ける年度 価格は認定年度で決まる。2027年度と2028年度で条件が変わりうる

試算そのものが正しいかを判断するのは難しいですが、「5年目から8.3円」が入っているかどうかは、数字を見れば分かります。ここが入っていない試算は、根拠を聞いたほうがいい部分です。

見積もりを取る前に決めておくことは 太陽光の見積もりを取る前に決めておく5つのこと、複数社の試算を比べる方法は 太陽光の相見積もりは何社取るべき? にまとめています。

費用の全体像は 太陽光・蓄電池の費用ガイド|公的資料で確認できる数字だけ にまとめています。

まとめ

  • 2026年度の住宅用の売電価格は1〜4年目24円、5〜10年目8.3円。調達期間は10年
  • これは「初期投資支援スキーム」。資料に「国民負担が増えない範囲の中で」「投資回収の早期化」と明記されている
  • 10年の合計は145.8円で、15円固定の150.0円より少ない。増えたのではなく前に寄せただけ(毎年同じ量を売る前提の計算)
  • 委員会自身が「後期に低い価格でFIT支援を受けるより、小売電気事業者の買取メニューのほうが収益が大きい可能性」と書いている
  • 2027年度も同じ価格。2028年度以降は「案」の段階で決まっていない

費用の側がどうなっているかは 太陽光の費用の推移|安くなったのはパネルだけ、補助金は 太陽光・蓄電池の補助金は今どうなっている? にまとめています。

この記事の情報について

以下を2026年8月7日に確認したものです。価格表はHTMLの表構造を、委員会資料はPDF本文を、それぞれ直接確認して照合しています。

10年合計の計算(145.8円・150.0円・65.8%)は当サイトによるものです。毎年同じ量を売電する前提で、お金の時間価値を含めていません。「業者の試算を見るときに確認すること」の整理も当サイトによるもので、公的な基準ではありません。

売電収入の税金については、この記事では扱っていません。FIT外の買取メニューとの有利不利についても結論を出していません。公的な比較データが存在せず、個別のメニューの条件によって変わるためです。

この記事は公開情報を整理したものです。当サイトが実際に太陽光発電を設置し売電した立場で書いたものではありません。