太陽光の回収年数計算ツール|前提を変えると何年変わるか

売電・経済性

「太陽光は何年で元が取れますか」に、ひとつの数字で答えることはできません。答えの下には12個の前提が置かれていて、どれかを動かすと答えも動くからです。

そこでこのページでは、答えを出す代わりに、前提を自分で置いて計算できるようにしました。初期値は国が売電価格を決めるときに実際に使っている数字です。すべて出典と確認日を付けてあります。

下のボタンで置き方を切り替えると、同じ設備でも回収年数が大きく動くことが確かめられます。

置き方のプリセット


設置容量 kW
1kWあたりの費用 万円/kW
補助金(合計) 万円
設備利用率 %
自家消費率 %
自家消費分の単価 円/kWh
売電単価 1〜4年目 円/kWh
売電単価 5〜10年目 円/kWh
売電単価 11年目以降 円/kWh
運転維持費 万円/kW/年
計算する期間 年
パワコン交換 年目に 万円
撤去・廃棄費用 期間末に 万円
計算するには JavaScript を有効にしてください。下の「前提を3つ動かすと6年にも13年にもなる」の表は、JavaScriptなしでもお読みいただけます。

3つのプリセットは何を表しているか

ここから先は当サイトの整理です。

プリセット 置き方 意味
国の想定値 25.5万円/kW・設備利用率13.7%・自家消費率30%・運転維持費あり 国が売電価格を決めるときに使っている前提。実勢の平均ではなく、安い契約から約3割に入る水準
実勢に寄せる 28.9万円/kW・設備利用率14.1%・自家消費率35% 委員会の定期報告データにある2025年設置(新築)の平均値と実績値
広告でよくある置き方 20万円/kW・発電した全量を27.31円で数える・運転維持費なし 短い年数が出る置き方。夜も雨の日もあるので全量を家では使えず、余りは売ることになる

「広告でよくある置き方」を選ぶと、回収年数が大きく縮みます。これは計算が間違っているのではなく、前提が違うだけです。短い年数を見たときに聞くべきことは「本当ですか」ではなく、「売電単価は5年目からいくらで計算していますか」「運転維持費は引いていますか」です。

前提を3つ動かすと6年にも13年にもなる

JavaScriptを使わずに読める形でも示しておきます。4kW・年4,800kWhの場合です(当サイトの計算)。

置き方 費用 年間便益 回収年数
全量を電気代で数える+20万円/kW+維持費なし 80万円 131,000円 約6.1年
売電単価の低下を織り込む+25.5万円/kW+維持費あり 102万円 76,000円 約13.4年

前提を3つ動かすだけで、6年にも13年にもなります。回収年数という数字そのものに意味はなく、どの前提で計算したかがすべてです。

なお、この表の13.4年は売電単価を10年平均(1kWhあたり14.58円)で均した簡易計算です。上のツールは年ごとに単価を切り替えて計算するため、同じ前提でも約14.2年とやや長く出ます。単価が5年目に24円から8.3円へ落ちる分、前半の収入が実際には多く、後半が少ないためで、どちらかが誤りというわけではありません。ツールのほうが実際の入金の順序に近い計算です。

公的な試算はどのあたりに来るか

東京都がQ&Aで自らの試算を公開しています。

例えば、令和7年10月時点の試算では、4kWの太陽光パネルを設置した場合、初期費用117万円が13.8年(現行の補助金を活用した場合8.4年)程度で回収可能です。

同じ4kWで13.8年、補助金込みで8.4年です。補助金なしで5〜6年になる置き方は、公的な試算からはかなり離れています。

このツールに入っていないもの

入力できる前提は12個のうちの一部です。次の項目は意図的に入れていません。公的な固定値が存在せず、当サイトが数字を置くと根拠のない試算になるためです。

  • 経年劣化(出力低下率) — 公的な固定値を確認できていない
  • 電気料金の将来の変動 — 自家消費分の価値は電気料金に連動するが、将来の単価は誰にも分からない
  • 税金 — 余剰売電の収入は原則雑所得。給与1か所なら所得20万円超で確定申告(住民税にはこの基準がない)
  • パワコン交換費用の相場 — 年と金額は入力できるが、初期値は0にしてある。公的な相場を確認できていないため
  • 撤去・廃棄費用の相場 — 同上。住宅用(10kW未満)は積立制度の対象外で、公的な費用試算は事業用のみ

ここを空欄のままにすると、回収年数は短めに出ます。実際の判断では、見積もりを取ったうえでご自身の数字を入れてください。

次に読むもの

12個の前提それぞれの根拠は 太陽光の回収年数はどう計算する?必要な12の前提と公的な数字 にまとめています。売電単価が二段になっている仕組みは 太陽光の売電価格2026年度|24円は4年だけ、5年目から8.3円、費用の水準は 太陽光発電の費用はいくら【2026年8月】 をご覧ください。

前提が固まったら、次は見積もりです。太陽光の見積もりを取る前に決めておく5つのこと と 太陽光の相見積もりは何社取るべき?「3社」に根拠はあるのか が判断材料になります。業者ごとに違う試算を、同じ物差しで比べられるようになります。

この記事の情報について

初期値に使った数字は、以下を2026年8月8日に確認したものです(`/econ/kaishuu-nensuu/` と同じ出典)。ツールの計算式は当サイトが組んだものです。

  • 経済産業省 調達価格等算定委員会(第110回・2026年1月7日)事務局資料
    システム費用25.5万円/kW(想定値)、2025年設置・新築の平均28.9万円/kW、設備利用率13.7%(実績14.1%)、自家消費率30%(実績の余剰売電比率64.8%)、自家消費27.31円/kWh、運転維持費0.30万円/kW/年、運転年数20年、調達期間終了後10.0円/kWh
  • 同委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(令和8年2月5日)
  • 資源エネルギー庁「固定価格買取制度 買取価格・期間等」
    2026年度の住宅用は24円(1〜4年目)/8.3円(5〜10年目)、調達期間10年
  • 東京都のQ&A(4kW・初期費用117万円で13.8年、補助金活用で8.4年)
  • 国税庁 質疑応答事例・タックスアンサー(余剰売電収入の所得区分)

計算結果はすべて「入力した前提を置いた場合の答え」であり、相場を示すものではありません。プリセットの分類、および「広告でよくある置き方」という区分は当サイトの整理であって、公的な分類ではありません。

確認していない範囲です。ここが重要です。経年劣化(出力低下率)の公的な固定値、パワーコンディショナーの交換費用の公的な相場、国や委員会による住宅用の想定回収年数・利回りの具体値、自家消費率の全国統計は確認できていません。このツールが「あなたの回収年数は◯年です」と断定しないのは、そのためです。電気料金の将来の変動、税金、金利・ローンの負担も計算に含めていません。

この記事は公開情報を整理したものです。当サイトが太陽光を設置して回収年数を実測した立場で書いたものではありません。実際の判断は、複数社の見積もりと最新の公表資料で前提ごとに確認してください。