太陽光の売電収入に税金はかかる?「20万円以下は申告不要」は所得税だけ

売電・経済性公開 2026年8月8日
太陽光の売電収入に税金はかかる?「20万円以下は申告不要」は所得税だけ

屋根の太陽光で電気を売ると、その収入には所得税がかかりうる——ここまでは多くの解説が書いています。ただ、その先でよく止まります。「20万円以下なら申告不要」という言い回しが独り歩きしていて、これが所得税だけの話であることや、20万円と比べるのは売電の入金額ではないことは、あまり書かれていません。国税庁と自治体の公表資料から、会社員が自宅の太陽光で売電した場合の扱いを順に見ていきます。

国税庁は「雑所得」と明示している

所得税は収入の性質ごとに10種類の所得に区分して計算します。自宅の余剰売電がどれに入るのかについて、国税庁は質疑応答事例で答えを出しています。

余剰電力の売却収入については、それを事業として行っている場合や、他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合には事業所得に該当すると考えられますが、給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当します。

会社勤めの人が自宅の屋根で発電し、余った分をFITで売っている、という典型的なケースは雑所得です。同じ事例の注書きには、全量売電の場合も事業として行われている場合を除き雑所得に該当する、とあります。なお設置場所が変わると区分も変わり、国税庁は自宅兼店舗なら事業所得の付随収入、賃貸アパートの共用部なら一般に不動産所得と、別の事例で整理しています。

20万円と比べるのは入金額ではない

「申告不要」の根拠は、タックスアンサーNo.1900(給与所得者で確定申告が必要な人)です。給与を1か所から受けていて年末調整で完結している人は、給与・退職所得以外の各種の所得金額の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。裏を返せば20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(給与収入が2,000万円を超える人などは除きます)。

ここで比べるのは売電の所得金額、つまり収入から必要経費を引いた後の金額です。電力会社からの年間の入金額そのものではありません。そして太陽光の場合の必要経費の計算方法まで、国税庁は同じ質疑応答事例で示しています。

会社員が自宅の余剰売電で得た収入の扱い(国税庁の公表資料より・2026年8月8日確認)
項目 扱い
所得区分 雑所得(事業として行う場合等は事業所得)
所得の計算 売電収入 − 必要経費(減価償却費の業務用割合分など)
設備の耐用年数 17年(「機械及び装置」の「その他の設備」「主として金属製のもの」)
経費にできる割合 減価償却費のうち、発電量に占める売却電力量の割合(業務用割合)
所得税の確定申告 給与1か所・年末調整済みなら、他の所得との合計が20万円以下は不要(No.1900)
住民税 20万円以下でも申告の対象(確定申告をすれば別途の手続は不要)

減価償却の考え方だけ補足します。設備の取得費用は17年に分けて費用化し、そのうち売電に対応する割合(発電量のうち売却した電力量の占める割合)だけが必要経費になります。自家消費した分に対応する部分は経費になりません。この業務用割合の考え方が、太陽光の税金計算のいちばんの特徴です。

住民税に「20万円ルール」はない

見落とされやすいのがこちらです。20万円以下で確定申告をしなかった場合でも、住民税の側には申告不要の基準がありません。横浜市は税のFAQでこう説明しています。

住民税の場合は、所得税と異なり、所得の多少にかかわらず、給与所得と合算して税額を計算することになっています。

所得税の確定申告をすれば住民税の申告もしたものとみなされるため、二度手間にはなりません。確定申告をしない場合に、市区町村への住民税の申告が別途必要になる、という構造です。手続の窓口や様式は市区町村ごとに異なるため、お住まいの自治体の案内で確認してください(当サイトの整理です)。

そもそも所得が20万円を超えるのはどんな場合か

売電収入の金額は、売電単価と発電量で決まります。2026年度の住宅用FITは最初の4年と5年目以降で単価が分かれる二段構造になっており、単価の水準は売電価格の記事で整理しています。収入からさらに減価償却費を引いた残りが所得ですから、自宅の余剰売電だけで20万円の線に届くかどうかは、設備の規模と自家消費の割合次第です。導入前に収支を見積もる手順は元が取れるのかの記事で扱っています。

逆に、卒FIT後に単価が下がると所得も小さくなります。税金の心配よりも、単価が下がった後の電気の使い方(自家消費に回すか、蓄電池に貯めるか)のほうが、家計への影響は大きくなります。

これから設置する人が覚えておくこと

ここから先は当サイトの整理で、公的な基準ではありません。

  1. 売電の入金額と「所得」を区別する。20万円の基準と比べるのは経費を引いた後の所得金額
  2. 確定申告をしない年でも、住民税の申告が必要になりうることを覚えておく。窓口は市区町村
  3. 設備の取得価額が減価償却の出発点になるので、契約書・領収書は保管しておく。見積もり段階で総額の内訳を書面で受け取っておくと後で困らない。取っておくべき書類は見積もり前に決めておく5つのことにまとめている
  4. 補助金を受けた場合や事業を持っている場合は扱いが変わりうるので、税務署か税理士に確認する

導入費用の全体像は費用ガイドの記事、補助金は全国の一覧、業者比較の進め方は見積もりガイドの記事をどうぞ。税金の計算は設置後の話ですが、その土台になる取得価額と発電量の見込みは、見積もりの段階で決まります。

この記事の情報について

出典は国税庁 質疑応答事例「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)、タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(令和7年4月1日現在法令等)、横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は…」(2026年4月1日最終更新)です。確認日は2026年8月8日(出典リンク先の掲載と引用箇所は2026年8月13日に再確認)です。当サイトが実際の申告で税務署の判断を確認したものではなく、記載は公表資料の読み取りです。個別の申告要否は税務署・税理士にご確認ください。

確認していない範囲: 復興特別所得税を含む税額計算の詳細、年金受給者の申告不要制度と売電の関係、パワーコンディショナー交換費用など減価償却費以外の必要経費の範囲、補助金を受けた場合の取得価額の調整(国庫補助金等の扱い)、市区町村ごとの住民税申告の様式・期限は確認していません。税制は年度で変わるため、申告時点の法令をご確認ください。