太陽光は元が取れるのか【2026年度】国が価格を決めるときに置いている7つの前提

費用公開 2026年8月8日
太陽光は元が取れるのか【2026年度】国が価格を決めるときに置いている7つの前提

※本記事にはプロモーションが含まれます

「太陽光は元が取れるのか」に一言で答えている公的資料はありません。ただ、国が住宅用の売電価格を決めるときには、元が取れるかどうかを実際に計算しています。その計算に使っている数字は公開されていて、7つの前提が並んでいます。そこを読むと、この問いが何で決まっているのかが見えてきます。

売電価格は、採算計算の結果として決まっている

住宅用太陽光(10kW未満)の調達価格は、経済産業省の調達価格等算定委員会が決めています。2026年1月7日の第110回委員会の資料に、2026・2027年度の価格を出すために置いた想定値の表が載っています。原文はこうです。

資本費 システム費用 据え置き(25.5万円/kW)/運転維持費 据え置き(0.30万円/kW/年)/設備利用率 据え置き(13.7%)/余剰売電比率 据え置き(70%)/自家消費分の便益 据え置き(27.31円/kWh)/調達期間終了後の売電価格 据え置き(10.0円/kWh)

読み方を補うと、設備利用率13.7%は、設備の定格出力に対して年間どれだけ発電するかの割合です。余剰売電比率70%は、発電した電気のうち7割を売り、3割を家で使うという想定です。

2026・2027年度の住宅用太陽光(10kW未満)で国が置いている想定値
項目 想定値 意味
システム費用 25.5万円/kW 設置にかかる初期費用
運転維持費 0.30万円/kW/年 使い続けるための毎年の費用
設備利用率 13.7% どれだけ発電するか
余剰売電比率 70% 発電のうち売る割合
自家消費分の便益 27.31円/kWh 家で使った分の価値
調達期間終了後の売電価格 10.0円/kWh 11年目以降に売れる値段

期間の想定は、FITの10年ではなく20年だった

FITの調達期間は10年です。ところが、採算を見ている期間はそれより長い。委員会は運転年数についてこう書いています。

運転年数について、外壁や屋根の塗り替え等が想定されることから、20年間の運転を想定し、引き続き、昨年度設定した2026年度の運転年数の想定値について据え置くこととしてはどうか。

つまり、価格の前提になっているのは20年です。売電の値段が高いのは最初の4年(24円/kWh)で、5〜10年目は8.3円/kWh、11年目以降は10.0円/kWhという想定。回収は10年で終わる話として設計されていません。売電価格の段構造については売電価格が4年と6年で分かれている理由にまとめています。

「5〜6年で回収」と書かれた資料を見かけたときに、どの前提が動かされているかは回収年数はどう計算するかで3つに分けて確かめられます。

見積もりを取って確かめる場合

ここまでの内容を判断材料にするには、実際の見積もりが要ります。複数社に一度に依頼できるサービスを使うと手間が減ります。

タイナビで無料一括見積もりを依頼する

広告。申し込みは各社の公式サイトで行われます。

いちばん高い単価は、売電の24円ではなかった

この表でいちばん大きい単価は、売電の24円ではなく自家消費分の便益の27.31円/kWhです。家で使った電気は買わずに済むので、その分だけ電気代が浮く。その価値を委員会は電気料金から算出しています。

2026年度の自家消費分の便益については、大手電力の直近10年間(2014年度~2023年度)の家庭用電気料金単価に、消費税率(10%)を加味して、27.45円/kWhと設定されている。

資料の本文には27.45円/kWh、想定値の表には27.31円/kWhという別の数字が出てきます。両者の関係を説明した記述は今回確認できませんでした。ここでは表の値を想定値として扱います。いずれにせよ、売っても24円のところ、使えば27円台の価値がつく。売るより使うほうが単価が高い設計だと読めます(当サイトの整理です)。

想定と実績は、1kWあたり3.4万円ずれている

同じ資料には、実際のデータも載っています。想定値と並べると、費用の側にはっきりしたずれがあります。

新築案件について、設置年別に見ると、2025年設置の平均値は28.9万円/kW(中央値29.4万円/kW)となり、2026年度の想定値(25.5万円/kW)を上回り、2024年設置より0.2万円/kW(0.6%)、2023年設置より0.5万円/kW(1.9%)増加した。

国の想定値と、同じ資料に載っている実績 システム費用(新築) 想定 25.5 万円/kW 実績 28.9 万円/kW(2025年設置の平均) 差 3.4 万円/kW 4kW なら約 13.6 万円 設備利用率 想定 13.7% / 実績 14.1% 余剰売電比率 想定 70.0% 実績 平均 64.8%(中央値 60.7%) 出典:調達価格等算定委員会(第110回)2026年1月7日 事務局資料/確認日 2026年8月8日

費用のずれは、想定より高いほうへ出ています。1kWあたり3.4万円の差は、4kWなら約13.6万円、5kWなら17万円です(当サイトの割り算です)。なお、想定値と実績で税の扱いが同じかどうかは資料から確認できませんでした。費用の水準そのものは費用のページと費用の推移に整理しています。

一方、売電比率のほうは想定より実績が低い。売る割合が減るということは、自家消費にまわる割合が増えるということです。委員会の記述はこうです。

余剰売電比率について、 2025年1月から2025年8月の間に収集したシングル発電案件を分析すると、平均値64.8%(中央値60.7%)であり、想定値(70.0%)と概ね同水準であった。

この問いを自分の家に置き換えるとき

ここから先は当サイトの整理で、公的な基準ではありません。国の想定値は「平均的な1軒」を作るための数字であって、個別の家に当てはまることを保証したものではありません。それでも、見積もりを前にして確認する順番としては使えます。

  1. 見積もりの総額を容量で割る。25.5万円/kWより高いか安いかで、国の想定より有利か不利かが分かります
  2. 年間発電量の記載を、容量×8,760時間×13.7%と比べる。業者の見積もりが強気かどうかの目安になります
  3. 自分の家が昼にどれだけ電気を使うかを確認する。売電単価より自家消費の単価が高いので、ここが効きます
  4. 11年目以降を10.0円/kWhで置いてみる。ここを24円のまま伸ばした試算は、国の前提とずれています
  5. 20年のあいだに屋根や外壁の工事が入ることを見込む。委員会が運転年数を20年に置いた理由がこれです

「元が取れる年数」を一つの数字で出したい気持ちは分かりますが、上の5つのどれか1つを変えるだけで答えは動きます。当サイトは太陽光を設置した立場ではなく、実際の設置費用や発電量を計測した経験もありません。ここに書いたのは、公表資料に載っている数字とその読み方だけです。

まとめ

国は「何年で元が取れるか」ではなく、費用・発電量・売る割合・使う割合という前提を置いて価格を決めています。その前提は公開されているので、自分の見積もりを同じ物差しに載せることができます。ずれが大きい項目があれば、そこが判断の分かれ目です。

次に見るなら、まず見積もりのページで総額と容量の見方を確認し、見積書のどこを見るかで年間発電量の書き方を照らし合わせるのが早いはずです。使える制度は補助金の一覧、蓄電池を足すかどうかは蓄電池の選び方、やめる判断の材料はやめたほうがいいケースにまとめています。

複数社の見積もりで確かめる

記事の内容を自分の家に当てはめるには、実際の見積もりで数字を見るのが確実です。1社だけでは相場が判断できないため、複数社から取ることをおすすめします。

タイナビで無料一括見積もりを依頼する

広告。申し込みは各社の公式サイトで行われます。

この記事の情報について

本文の数字はすべて、下記の公表資料から直接取得したものです。取材や実測に基づく記述は含んでいません。「当サイトの割り算」「当サイトの整理」と書いた箇所は当サイトの計算・解釈であり、公的機関の見解ではありません。

  • 調達価格等算定委員会(第110回)2026年1月7日 事務局資料PDF(想定値の表・運転年数・システム費用・設備利用率・余剰売電比率・自家消費分の便益)/確認日 2026年8月8日
  • 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」ページ/確認日 2026年8月8日

確認していない範囲は次のとおりです。委員会が想定値から算出している利回り(IRR)の具体値、運転年数を20年とした根拠となる塗り替え周期の資料、27.31円/kWhと本文の27.45円/kWh・27.86円/kWhの関係、想定値が税込か税抜か、パワコンの交換費用が運転維持費0.30万円/kW/年に含まれるかどうか、地域別・屋根方位別の発電量。いずれも今回の確認では取得できていないため、本文では扱っていません。実際に元が取れるかどうかは個別の条件で変わります。契約前の判断が必要な場合は、複数社の見積もりと自治体の窓口で確認してください。