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宮崎県の令和8年度の補助金は「ひなたゼロカーボン加速化事業補助金」という一つの名前で案内されています。ところが中身を読むと、売電をめぐる扱いが二通りに分かれています。
同じ補助金の中で、FITの扱いが逆になっている
屋根に太陽光を新しく載せる枠には、こう書かれています。
(ア) 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号。以下「再エネ特措法」という。)に基づく固定価格買取制度(以下「FIT」という。)の認定又は FIP(Feed in Premium)制度の認定を取得しないこと。
これから設置するなら、FIT認定を取ってはいけません。売電を前提にした設計は補助の対象外です。
ところが、蓄電池だけを入れる枠には正反対のことが書かれています。
(イ) 既存の太陽光発電設備が FIT・FIP 契約をしている場合でも、余剰電力や卒 FIT・FIP 後の電力の自家消費が見込まれる場合は対象とする。
すでに屋根に太陽光があって、いまFITで売電している家は、売電を続けたまま蓄電池の補助を受けられます。同じ年度の同じ補助金でありながら、条件が入れ替わっています。
分かれ目は「太陽光がすでにあるかどうか」の一点です。これから載せる人は売電を諦める側、すでに載っている人は売電を残せる側に回ります(当サイトの整理です)。
蓄電池の入口は2つあるが、金額は同じ
宮崎県は蓄電池を、性格の違う2つの事業に分けて置いています。
| 事業名 | 条件 | 個人の補助率・上限 |
|---|---|---|
| ひなたゼロカーボン加速化事業 | 太陽光と同時導入に限る | 1/3以内 または 5万円/kWh、上限50万円 |
| 電力自家消費サポート事業 | 既存の太陽光との接続が必要 | 1/3以内 または 5万円/kWh、上限50万円 |
金額は一円も変わりません。変わるのは申請する事業の名前と、添える書類だけです。
蓄電池/太陽光発電設備と同時導入の場合:蓄電池シミュレーション資料(1日の蓄電と放電のサイクルが分かるもの)
蓄電池/蓄電池単体で導入する場合:太陽光発電設備の契約書等(設備が設置されていることが分かるもの)
同時導入では、まだ動いていない設備について1日の充放電サイクルを示す資料が要ります。金額の一覧表を眺めていても、この違いは出てきません。
蓄電池の容量表記や価格の見方は 家庭用蓄電池を選ぶ前に|容量・価格・補助金・消防の基準 にまとめています。
太陽光は6kWで頭打ち、蓄電池のほうが厚い
⑴ 第2条に掲げる者のうち、個人(以下「個人」という。)1kW あたり3.5万円。ただし、上限額21万円とする。
3.5万円に6を掛けると21万円です。つまり6kWを超えて載せても、太陽光側の補助額はそれ以上増えません。
| 区分 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 太陽光発電設備導入 | 1kWあたり3.5万円、上限21万円 | 1kWあたり3万円、上限600万円 |
| 蓄電池導入 | 1/3以内 または 5万円/kWh、上限50万円 | 1/3以内 または 6万円/kWh、上限120万円 |
| 高効率給湯器導入(エコキュートは対象外) | 1/2以内 | 1/2以内 |
| 断熱改修(窓ガラス等) | 1/3以内、上限120万円 | — |
太陽光の上限21万円に対して、蓄電池は50万円。パネルを増やすより蓄電池の容量を検討したほうが補助額は伸びる設計です。
費用の相場は 太陽光発電の費用ガイド|内訳・相場・回収年数 に、補助金全体の地図は 太陽光発電の補助金一覧|国・都道府県・市区町村 にあります。
補助金を使うには、まず見積もりから
補助金の対象になるかどうかは、設置する設備と工事の内容で決まります。まず見積もりを取らないと、いくら補助が出るかも確定しません。
広告。申し込みは各社の公式サイトで行われます。
蓄電池の価格制限は「努めること」で書かれている
(ウ) 家庭用(20kwh 以下):12.5万円/kWh、業務用(20kwh 超):11.9万円/kWh 以下(いずれも工事費込み・税抜き)の蓄電システムとなるよう努めること。
数値自体は他県より低い水準ですが、末尾が「努めること」になっています。大分県のように「超える蓄電池は補助対象外設備となり」と言い切っている県とは、文の締め方が違います(→ 大分県の記事)。
ただし「守らなくていい」と読むのは危険です。見積書の総額を容量で割った数字は、いずれにせよ手元で出しておくべきものです(当サイトの整理です)。
容量の数え方も指定されています。
※JIS C 4413規格で定義された初期実効容量(計算値と計測値のいずれか低い方)が1.0kWh 未満の蓄電システムは対象外とする。
保証についても、メーカー保証とサイクル試験による性能の双方が10年以上と定められ、販売店保証は含めないと明記されています。
設置したあと、J-クレジットに登録できない
共通の補助対象要件に、設置後まで効く一文があります。
ウ 法定耐用年数を経過するまでの間、補助対象事業により取得した温室効果ガス排出削減効果について J-クレジット制度への登録を行わないこと。
補助を受けて減らしたCO2を、あとから自分のクレジットとして売る道が塞がれます。工事が終わったら関係が切れる制度ではない、ということです。
日程と、交付決定までの空白
受付期間:令和8年6月18日(木曜日)午前10時から令和8年12月4日(金曜日)午後5時まで
ただし、予算がなくなり次第受付終了します。
チラシには、交付決定までの目安が申請書提出の2〜4週間後と書かれています。その間は発注も工事契約もできません。
補助金の交付決定日前に発注等の契約行為を行なった経費は補助対象外となる。
補助事業は、補助金の交付決定から令和9年1月27日(水曜日)までの期間に、支払いも含めて完了すること。
実績報告の期限は令和9年1月27日で、支払いまで終わっている必要があります。交付決定前の着工がなぜ致命的かは 補助金の申請はいつ何をするのか|交付決定の前に工事を始めると対象外 にまとめています。
手続きの流れには、あまり見かけない一行も入っています。
予算の枠取りを目的とした申請書の提出と認められる申請については、受付を行わない
窓口も県庁ではありません。交付要綱を定めているのは県ではなく事務局で、申請は事務局の申請システムから行います。対象者の要件には県税に未納がないことが入っており、個人でも納税証明書が要ります。
進めるときの順番
ここから先は当サイトの整理で、公的な基準ではありません。
- 屋根に太陽光があるかどうかで、申請する事業名が決まる。ここを最初に確定させる
- これから載せるなら、売電収入を計算に入れない前提で見積もりを取る
- 蓄電池は工事費込み・税抜きの総額を容量で割り、12.5万円/kWhと見比べる
- 太陽光は6kWで補助が頭打ちになる。パネルを増やす提案は補助額と切り離して判断する
- 交付決定まで2〜4週間。令和9年1月27日から逆算して申請時期を決める
見積もりを取る前に決めておくことは 太陽光の見積もりを取る前に決めておくこと に、比べられる形で集める手順は 太陽光の見積もりガイド|比べられる見積もりの集め方 にまとめています。卒FIT後の売電単価は 売電価格の推移と卒FIT後の選択肢 で扱っています。
→ 宮崎県「【住宅・事業所の脱炭素化支援】ひなたゼロカーボン加速化事業補助金のご案内(令和8年度)」
まとめ
- 新しく載せる太陽光はFIT・FIPの認定を取得できない
- すでにFIT契約がある家は、売電を続けたまま蓄電池だけ補助を受けられる
- 蓄電池の入口は2事業に分かれるが、個人の金額はどちらも同じ
- 太陽光は個人で1kWあたり3.5万円、上限21万円(6kWで頭打ち)。蓄電池は上限50万円
- 蓄電池の価格基準12.5万円/kWhは「努めること」と書かれている
- 法定耐用年数の間、J-クレジット制度への登録ができない
- 受付は令和8年12月4日まで、実績報告は令和9年1月27日まで
- 交付決定は申請の2〜4週間後が目安。その前の発注は対象外
複数社の見積もりで総額を比べる
補助額は数万円から数十万円ですが、設備の見積もりは会社によって数十万円の差が出ることがあります。補助金を使う前提で、複数社の見積もりを比べてください。
広告。申し込みは各社の公式サイトで行われます。
売電するかどうかで扱いが分かれる県は宮崎県を含めて4つです。ほかの県では条件が固定されています(47都道府県の補助金を全部調べた)。
この記事の情報について
以下を2026年8月8日に宮崎県の公式サイトで直接確認したものです。引用は原文のままです。
- 宮崎県「【住宅・事業所の脱炭素化支援】ひなたゼロカーボン加速化事業補助金のご案内(令和8年度)」(掲載開始日 2026年6月18日/更新日 2026年7月10日)
- ひなたゼロカーボン加速化事業補助金(間接補助)交付要綱(PDF)(令和8年6月18日/全9ページ)
- 令和8年度 加速化事業補助金 チラシ(PDF)
確認していない範囲:
- 申請様式とよくある質問。補助金申請システム内にあり、本文を確認できていません
- 令和8年度の予算額と、現時点の残額。県のページに記載がありません
- 市町村が独自に行っている補助制度
- 高効率給湯器と断熱改修の詳細な要件
- 事務局ホームページ(外部サイト)の内容
「進めるときの順番」は当サイトの整理であり、県が示した手順ではありません。
制度は年度途中でも変わります。申し込む前に必ず最新の公式ページを確認してください。
この記事は公開情報を整理したものです。当サイトが実際に宮崎県で太陽光発電や蓄電池を設置した立場で書いたものではありません。
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