太陽光を訪問販売で契約してしまったら|8日は契約日から数えない

失敗・トラブル公開 2026年8月8日
太陽光を訪問販売で契約してしまったら|8日は契約日から数えない

訪問販売で契約してしまったあと、まず数えたくなるのは日数です。ただ、その8日をどこから数えるかを、多くの人が契約した日だと思っています。特定商取引法の条文はそう書いていません。起算するのは契約日ではなく、法律で決められた書面を受け取った日です。

相談の中身は「リフォーム」から「点検」に移っている

国民生活センターは、訪問販売によるリフォーム工事と点検商法の相談件数を公表しています。2026年7月31日更新の数字は次のとおりです。

年度 2023 2024 2025 2026
訪問販売によるリフォーム工事 11,879 9,839 5,544 602(前年同期 680)
点検商法 12,550 19,249 19,696 2,193(前年同期 2,012)

件数は2026年5月31日現在で、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。訪問販売によるリフォーム工事は3年でおよそ半分以下になり、点検商法は増えて3倍以上の開きがつきました。同センターは点検商法を「点検に来たと言って来訪し、『工事をしないと危険』などと言って商品やサービスを契約させる」ものと説明しています。

掲載されている最近の事例には、太陽光がそのまま出てきます。

太陽光発電システムの点検が義務化されたと業者の訪問があった。初回無料の点検の予約をしたが、義務化は本当か。

突然来訪した業者に自宅の屋根がずれているので無料点検すると言われ、点検後、瓦がずれている画像を見せられ屋根工事の契約をした。しかし、同業他社から高額と指摘され、クーリング・オフしたい。

8日は、契約書にサインした日から数えるとは限らない

消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売のクーリング・オフをこう書いています。

訪問販売の際、消費者が契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、書面又は電磁的記録により申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます。

「法律で決められた書面」という限定がついています。ガイドが挙げる記載事項は14項目あり、販売価格・支払時期・引渡時期のほか、事業者の氏名と住所と電話番号、担当者の氏名、契約年月日、商品名、型式、数量まで含みます。形式の指定もあります。

このほか消費者に対する注意事項として、書面をよく読むべきことを、赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。また、クーリング・オフの事項についても赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。さらに、書面の字及び数字の大きさは8ポイント(官報の字の大きさ)以上であることが必要です。

国民生活センターは、日数の数え方を「契約書面を受け取った日を1日目として8日間」と説明しています。手元の書類がいつ渡されたものかを先に確かめる、というのが順番になります(当サイトの整理です)。

「8日」をどこから数えるか よくある数え方 契約書にサインした日 → そこから8日 特定商取引法(法第9条) 法律で決められた書面を受け取った日を1日目 → 8日間 例外(同ガイド) クーリング・オフについて事実と違うことを告げられた/威迫された結果、 誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合は、8日の経過後もできる

屋根に穴が開いていても、無償で元に戻してもらえると書いてある

工事が始まってしまったあとはもう遅い、と考えて連絡をためらう人がいます。同じガイドの清算ルールには、こうあります。

また、消費者は、損害賠償や違約金を支払う必要はなく、既に頭金等の対価を支払っている場合には、速やかにその金額を返してもらうとともに、土地又は建物その他の工作物の現状が変更されている場合には、無償で元に戻してもらうことができます。

太陽光の工事は、屋根に穴を開けて支持部材を留める工事です。工作物の現状が変更されている場合という表現は、まさにその状態を指しています。商品が使用されている場合や役務が既に提供されている場合でも対価を支払う必要はない、ともガイドは書いています。

ただし例外もあります。ガイドは、いわゆる消耗品を使ってしまった場合と、現金取引で代金の総額が3,000円未満の場合には、クーリング・オフの規定が適用されないと明記しています。

8日を過ぎていても、条文はまだ残っている

特定商取引法には、クーリング・オフとは別の民事ルールが並んでいます。ガイドの記載を要約すると次のようになります。

  • 法第9条の2(過量販売): 通常必要とされる量を著しく超える契約は、契約締結後1年間、撤回または解除ができる
  • 法第9条の3(取消し): 事実と違うことを告げられて誤認した場合、または故意に事実を告げられず誤認した場合は、意思表示を取り消せる
  • 法第10条: クーリング・オフ期間の経過後に契約が解除された場合、事業者が請求できる額に上限がある

国民生活センターも「クーリング・オフ期間経過後でも契約の取消ができる場合があります」と書いたうえで、消費者ホットライン188を案内しています。どの条文に当たるかの判断は個別の事情によるため、この記事では扱いません。実際の手続きは、お近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談してください。

そもそも、訪問の入口で確認できることがある

特定商取引法は、勧誘を始める前に事業者が名乗るべき内容を定めています。国民生活センターの解説は、消費者側の動き方としてこう整理しています。

特定商取引法では、事業者が訪問販売を行うときには、勧誘に先立ち、消費者に対して、事業者の氏名(名称)、契約の締結について勧誘する目的である旨、販売しようとする商品(権利、役務)の種類を告げなければならないと定められています。事業者の突然の訪問を受けた際は、まずこれらの事項を確認しましょう。

もうひとつ、断ったあとの扱いも条文になっています。消費者庁のガイドは、消費者が契約締結の意思がないことを示したときは、その訪問時に勧誘を続けることも、その後改めて勧誘することも禁止されている、と説明しています。

同センターの相談例は金額の大きさが目を引きます。「安く契約できるのはあと2件」と説明されて約300万円で契約した、というものです。回答は、複数社から見積もりを取って比較検討することと、契約するつもりがないならきっぱり断ることを挙げています。

整理

ここから先は当サイトの整理で、公的な基準ではありません。

  1. 受け取った書類の日付を確認する。8日はそこから数える
  2. 赤枠・赤字のクーリング・オフの記載があるか、14項目が埋まっているかを見る
  3. 工事が始まっていても、条文は原状回復に触れている。着工を理由に諦めない
  4. 8日を過ぎている場合も含めて、消費生活センター等(188)に相談する

当サイトは実際に訪問販売の契約をした立場ではなく、上に挙げたのは公的資料に書かれている項目を並べ直したものです。契約前の段階であれば、悪質業者の見分け方と相見積もりの取り方のほうが先に効きます。

まとめ

  • クーリング・オフの8日は、法律で決められた書面を受け取った日から数える
  • 点検商法の相談は2025年度に19,696件。訪問販売によるリフォーム工事の5,544件を大きく上回る
  • 工作物の現状が変更されている場合は、無償で元に戻してもらえるとガイドに書かれている
  • 8日の経過後も、過量販売や取消しの規定が別に置かれている

費用の相場は太陽光の費用、補助金の現状は補助金の一覧、見積もりの取り方は見積もりガイドの記事、蓄電池の判断は蓄電池の選び方にまとめてあります。保証条項の読み方は太陽光の保証は3種類ある、見積書そのものの見方は見積書のどこを見るかを参照してください。蓄電池の勧誘については、国民生活センターが相談件数と契約額を公表しています(蓄電池の訪問販売の記事)。

この記事の情報について

出典(いずれも2026年8月8日確認):

確認していない範囲:

  • 上の表は「リフォーム工事」(屋根工事・壁工事・増改築工事・塗装工事・内装工事の合計)と「点検商法」の集計です。太陽光発電・蓄電池だけを取り出した相談件数の年度推移は、今回確認した範囲では公表されていませんでした
  • 交付された書面が法定の記載要件を欠いている場合に、8日の起算がどう扱われるかは、消費者庁のガイドに明記がありません。個別の判断になるため本記事では断定していません
  • クーリング・オフ後の原状回復が実務でどこまで行われているかの統計は確認できていません
  • 個別の契約が特定商取引法の訪問販売に該当するか、どの条文が適用されるかの判断は法的な領域です。この記事は制度の紹介にとどめています。実際の相談先は消費者ホットライン188です