蓄電池を入れたら電気料金プランは変えるべきか|3つの型で判断する

蓄電池

蓄電池を入れると「夜の安い電気をためて昼に使う」使い方ができます。ここで出てくるのが電気料金プランの話です。ただ、プラン名で選ぼうとすると比較が終わりません。プランは大きく3つの型に分けられ、蓄電池と噛み合うかどうかは型で決まります。そして市場連動型については、国が消費者向けの相談窓口を設置した事例が公的資料に残っています。

料金プランは3つの型に分けられる

個別のプラン名ではなく、単価がどう決まるかで分けると次の3つになります。

電気料金プランの型と、蓄電池の充電タイマーとの噛み合い方(編集部の整理)
型 単価の決まり方 安い時間帯 蓄電池のタイマーとの関係
従量一律型 使用量の段階で決まる 時間帯による差がない いつ充電しても単価は同じ
時間帯別型 時間帯ごとに単価が決まっている 契約上固定されている 安い時間帯にタイマーを合わせられる
市場連動型 卸電力市場の価格に連動する 日によって動く 安い時間が動くため固定タイマーでは追えない

蓄電池の「夜間充電」が節約になるのは、原則として2番目の時間帯別型です。1番目では時間をずらしても単価が変わらず、3番目では安い時間そのものが動きます。ここが判断の起点になります。

市場連動型で起きたことは記録に残っている

市場連動型は、市場価格が下がっている時間帯に使えば安くなる仕組みです。逆に上がったときにどうなるかは、2021年1月の事例が公的資料に記録されています。資源エネルギー庁の検証資料はこう書いています。

2021 年1月上旬、断続的な寒波により電力需要が大幅に増加し、LNG の在庫が減少したことで発電が稼働抑制されるとともに、その他発電所の出力低下により供給力が低下したことで、電力需給がひっ迫する事態が発生した。これに伴い、市場への売り入札が減少し、売り切れ状態が継続した結果、一時、最高価格 250 円/kWh を超える過去に例を見ない水準でスポット価格が高騰した。

具体的な数字も示されています。

1月 13 日には1日の平均価格が154.6 円/kWh と、スポット市場の1日平均価格として最高を記録し、1月 15 日にはコマごとの最高価格である 251.0 円/kWh を記録した。

1日の平均で154.6円/kWh。家庭向けの平均的な電力量料金と比べて、桁が違う水準です。電気料金そのものの推移は電気代の値上がりを整理した記事にまとめています。

国が相談窓口を設置し、契約の確認を呼びかけた

このとき行政が何をしたかも、同じ資料に書かれています。

今冬の市場価格の高騰に際し、「市場連動型メニュー」の需要家(消費者・事業者)24に対し、高額な料金請求が生じる可能性があることから、電力・ガス取引監視等委員会において、1月 14 日に、需要家向け相談窓口を設置するとともに、需要家に対して契約内容の確認と契約の切替え方法について周知が行われた。

さらに、小売事業者側への要請も行われています。

さらに、1月 29 日には、卸電力市場価格が急激に高騰する中でも、需要家が安定的な電力供給サービスを継続的に享受できるようにするため、特に市場連動型の電気料金メニューを提供する小売電気事業者に対し、需要家の電気料金負担が激変しないよう、資源エネルギー庁において柔軟な対応が要請された。

資料は、この型を選ぶ需要家への影響について次のようにも述べています。

市場価格の急激な高騰は、市場連動型の電気料金メニューを選択する需要家に大きな影響を与える場合も考えられるところ

市場連動型が悪い、という話ではありません。国が相談窓口の設置まで行った事例が実際にある、という事実です。契約を検討するときは、単価の上限が設けられているかどうかを契約書で確認する材料になります。

蓄電池のタイマーは、料金の変動に自動では追随しない

ここが市場連動型と蓄電池の相性を決める部分です。蓄電池の充放電の時間帯は、機器側に設定した時刻で動きます。メーカーのQ&Aには次のように書かれています。

電気料金の安い時間帯に充電し、電気料金の高い時間帯に放電して電気を使うと電気代の低減に繋がります。

その設定の細かさには制限があります。同じQ&Aから2つ。

Q 曜日ごとの充放電設定は可能ですか。
A 曜日設定の機能はございません。

Q 蓄電池に設定した時刻は自動補正してくれますか。ユーザー自らが定期的に補正をかける必要がありますか。
A 見守りサービスを利用されている場合は、補正機能があります。見守りサービスを利用されていない場合は、時刻の補正機能はありませんので、定期的に時刻合わせをお願いいたします。

曜日単位ですら設定できない機種があり、時刻のずれを手動で直す必要がある場合もあります。日ごとに安い時間が動く料金プランに、この仕組みを合わせるのは現実的ではありません(編集部の整理です)。機器側の設定の考え方は運転モードの記事に整理しました。

太陽光があるかないかで、判断軸が変わる

プラン選びの前提として、そもそも何を充電するのかが違います。メーカーの説明では、蓄電池の基本動作はこう書かれています。

蓄電システムの基本的な動作 割安な深夜電力や昼間の太陽光発電を蓄電池に貯めて、朝~夜に使います。蓄電池ではまかないきれない電気は、電力会社から買って使います。

太陽光がない家では、ためる電気はすべて買った電気です。この場合、料金プランの時間帯差がそのまま収支に効きます。太陽光なしで蓄電池だけを入れる場合の考え方は蓄電池だけを設置する記事にまとめています。

太陽光がある家では、昼にためるぶんは購入していません。同じメーカーの説明には、太陽光を前提とするモードについての注意もあります。

<グリーンモード> 太陽光発電なしでは効果がありませんので設定しないでください。

そして卒FITを迎えると、売る単価と買う単価の関係が変わり、どの時間帯にためるのが有利かも変わります。売電が終わったあとの考え方は卒FITの記事に整理しました。

プランを変える前に確認する5項目

ここから先は編集部の整理で、公的な基準ではありません。

  1. 今の契約が3つの型のどれかを確認する。検針票や契約書面の料金表を見ると、時間帯の区分があるかが分かります
  2. 蓄電池のタイマーで設定できる時間帯の区切り方を確認する。プラン側の安い時間帯と一致しなければ意味がありません
  3. 市場連動型を検討する場合、単価に上限があるかを契約書で確認する。上限がなければ市場価格がそのまま請求に反映されます
  4. 太陽光の有無で前提が変わることを踏まえる。太陽光がある家では、昼にためる分は買っていません
  5. 今の契約に解約時の条件があるかを確認する。違約金や期間の縛りが設定されている場合があります

そのうえで、蓄電池の見積もりを取る段階では、充電時間帯をどこまで細かく設定できるかを機種ごとに聞いておくと判断しやすくなります。見積書の読み方は蓄電池の見積もりの見方にまとめました。

まとめ

  • 料金プランは従量一律型・時間帯別型・市場連動型の3つの型に整理できる
  • 蓄電池の夜間充電が節約になるのは、安い時間帯が固定されている型が前提
  • 2021年1月、スポット価格は1日平均154.6円/kWh、コマごとの最高251.0円/kWhを記録したと国の資料に記録されている
  • このとき国は市場連動型の需要家向けに相談窓口を設置し、契約内容の確認と切替え方法を周知した
  • 蓄電池のタイマーは曜日設定ができない機種があり、時刻の自動補正がない場合もある
  • 太陽光の有無で、ためる電気が「買った電気」か「発電した電気」かが変わる

プランは名前ではなく型で見ると、比較する項目が5つ程度に絞れます。必要な容量の記事とあわせて、自分の家の使い方から逆算してみてください。蓄電池の記事の一覧は蓄電池のまとめにあります。

この記事の情報について

出典は、資源エネルギー庁「2020年度冬期の電力需給ひっ迫・市場価格高騰に係る検証 中間取りまとめ(案)」(2021年4月28日開催 第34回 電力・ガス基本政策小委員会 資料、全96ページ。スポット価格の水準、需要家向け相談窓口の設置、小売事業者への要請)、ニチコン株式会社「Q&A 9.7kWh 単機能蓄電システム」(充放電の時間帯設定、曜日設定、時刻補正)、オムロン ソーシアルソリューションズのFAQ「経済モードと安心モードとグリーンモードの違いは何ですか?」(蓄電システムの基本動作、グリーンモードの前提)です。エネ庁資料はPDF本文を直接取得して確認しました。確認日は2026年9月6日です。編集部が特定の料金プランに契約して比較した立場ではなく、記載は公表資料の読み取りです。特定の電力会社・料金プランを推奨するものではありません。

確認していない範囲: 各社の現在の料金プランの単価と時間帯区分は、変動が速いため本記事では扱っていません。時間帯別プランの時間区分は各社が任意に設定しており、横断的に定めた公的な資料は確認していません。2022年度以降のインバランス料金制度の見直し後に、市場連動型メニューの価格変動がどう変わったかも確認していません。蓄電池の充電時間帯を料金プランに合わせて最適化した場合の削減額は、家ごとに前提が違うため扱っていません。電力会社を切り替える手続きの期間や条件、引用したメーカー以外の機種でタイマー設定がどこまで細かくできるかも確認していません。